「保育園民営化訴訟」(2)…本質を見極めろ!!

 保育園民営化訴訟の記事でhana-usagiさんより「本質を見極めろ」とコメントを頂いたので、横浜の裁判の報道を読みながら、もうすこし「本質」を叫んでみたいと思う。
 実は、ワタシの子どもが通っていた保育園は「社会福祉法人の民間園」で、市から「認可」を得て「経営」されていた。以前もかいたが保育熱心な保育園で、「親としては」満足し感謝している。だから恩返しという意味も込めて、子どもが卒園した今でも保育情勢を気にかけ、全国の親と保育園と保育士さんに頑張れ~!! とエールを送っているわけだ。と、それほど良い「社会福祉法人の民間保育園」だったのである。公立保育園に子どもを預ける親が思っているほど「社会福祉法人」は悪いとこばかりじゃないのだよ。

 では、ワタシが身をもって体験したように「民間」でも良い保育園はあるのだから、今回の横浜市の場合の「民営化」も「社会福祉法人」への移管で問題はないではないか、と思われるかもしれない。今回の裁判でも、「民営化の目的は横浜市の置かれた財政状況を前提として、待機児童の解消を図り、多様な保育ニーズに応えることにあったと認められる。」という判定がでているのだ。つまり「民営化」そのものは「問題ない」という判決だ。そのうえで、公立から私立の「引継期間が3ヶ月と短く、子どもに実害がでた」ことが争点になっていて、「時間をかけて民営化されれば問題はないのですね」とhana-usagiさんはひねくれてしまうことになる(笑)。……ワタシがまえの記事で「勝ったけど…」と言ってしまったことはここにある。

 「コイズミ」や「官僚」や「子育て支援部長」が声をそろえていうように、「民間」でできることは「民間」で!! しかもその「民間」が素晴らしければなんの問題があろうか? と言うことになる。世間でも多くの人がそう思っているかもしれない。しかし、その全てが「財政状況を前提に」なのである。「コイズミ」のいうところの市場原理が働き……というのも所詮「金」でしかない。
 まずは本質は「金」でなく「子ども」だろ!! と叫んでおこう。もし「保育園民営化」も「金」ではなく、「子ども」のことや「保育」のことを考えて「民営化」したほうがよいのではないか、という出発点であれば「建設的な話し合い」ができるかもしれない。それを「金」がないから「民営化」というのは「愚かな大人」の都合でしかなく、話にならない、というか話し合う依然の問題だ。「金」「金」「金」で「子ども」を巻き込むその精神が腐っているとしか思えない。「子ども」を育てていくのは銭勘定じゃないのではないか、「大人の責任」であり「社会の責任」であるはずなのだ。これまでも「社会の責任」を自覚してきたからこそ「児童福祉法」があり「公で子どもを育ててきた」わけだろ。それを「金」がなくなったから「民間」でという話にはならない。(※最初から「公」は「社会の責任」を自覚してきたわけでなく、民間である先達が運動によって自覚させてきたのだ)

 それでも敢えて現実的に「金」は必要ということで、「コスト」という視点から考えるが、そも「保育園」など経営しても「子どものことを真剣に考えた保育」をしていれば、儲かるものではない。ワタシの子どもが通っていた「社会福祉法人の民間保育園」でも、「社会福祉法人」という利益追求ではなく、「公立保育園」と同様の条件を満たした「認可園」として「補助金」を「公」から支給されていたから成り立っているのである。しかも「民間調整費(公私間格差是正)」という地方自治からの人件費の支給 (保育士の給料)がなくなるというはなしがあり、保育園が潰れるかもしれないと噂されているほどなのだ。認可され補助金がでてるのにもかかわらず毎月の多額の保育料を支払っていた。つまりそれほど「金」がかかるのだ。○○○園のようにビルの一室で子どもの死をも恐れぬような保育をすれば儲かるかもしれないが、それは既に「保育」ですらない。
 では「金」がない行政が「保育園を民間に売り渡す」最終的な目的はというと、とうぜんであるが「保育」に「金」を使わないことにある。もちろん最初からではない。徐々にじわじわと補助金が削減される。だって、「民間切り売りの目的」は「金」をつかわないことなんだもの。そうして補助金がなくなっていく「民間」にとって「経営」は非常に困難なことになる。どこにしわ寄せがいくのだ? 保育士の待遇であり、親が負担する保育料であり、……本質は「子どもにしわ寄せ」がいくことになる。「社会福祉法人」ではなく、利益を追求する企業に売られた場合はじわじわでなく、即、悲惨な状態になるのは、練馬区の 光が丘第8保育園をみればわかる。
 つまり、あえて「金」からアプローチしても「ちゃんとした保育」をしようとすれば、「民間」では無理ということなのである。

 こんななかで、保育園の役割はさらに重要になっている。加藤繁美は「保育園」の役割は従来の「両親とも就労している家庭の子どもの保育をする」以上のことが求められている時代であるという。核家族化、地域の繋がりの薄く、情報が錯綜する時代において「子育て」が非常に困難になっており、子育てに悩む親、虐待をしてしまう親が多く、「子どもの本来の育ち」がされにくいと危惧する。そんななかで「親の就労に関係なく、子どもを育てる親とプロである保育士」が「子どもを中心」に手をとりあって「育児」をする場として「保育園」が重大な役割を担っていくべきだと言う。
 もっともだと思う。口先や肩書きだけで「子育て支援」などという前に、しっかりと本質をつかみ「公」の責任として子どもを育てなければならない。

<保育園民営化訴訟>(3) 許し難い市側の控訴!!へつづく

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この記事へのコメント

トム ソーヤ
2006年05月26日 21:55
保育の公的責任が明確に書かれたいい文章ですね。小泉は弱い立場の人間は最低限(死なない程度)で生活しなさい。頑張りが足りないんだからしょうがないよと言っているんです。つまり、人間の権利なんてことは考えていません。人間とは何ぞや?今こそ考えよう!
 最近、この弱肉強食の世の中に空恐ろしさを感じます。どこまでいくのでしょう?60数年前、満州事変がおき、何だかやばいなと思ったらどんどん戦争にひきづられた時代がありました。何だかそんな雰囲気を感じる今日この頃です。
dr.stonefly
2006年05月27日 08:40
コメントありがとうございます。
前記事では「本質を掴め」と言葉をいただいたり、トムソーヤさんには、「人間とは何ぞや」「満州事変への雰囲気を感じる」と頂いたりと、もっと、もっと「考えろ」と激励されているようで、勇気づけられます。
表面的な事象を真剣に見つめつつ、真理も追求したいと思ってます。今後共「指摘」等、含めてよろしくお願いします。
2006年05月27日 16:14
コメント、トラックバックありがとうございました。私も拝見して関心事が似ていると思いました。このエントリーまったく同感です。私は文章が下手なもので、自分の考えがうまくまとめられているエントリーがありませんでしたが、職員を中心とした集会に父母として参加させていただいたころのエントリーを1本、トラックバックさせていただきます。
dr.stonefly
2006年05月27日 17:47
散策さん、こちらこそTB,コメントありがとうございます。
社会全体では、関心をもつ人がまだまだ少ない「保育情勢」です。子どもたちが自ら声をあげるのは困難であるけれども、子どもを中心に親、保育士……大人がいっしょになって訴えなければならないと思ってます。ワタシたちも真摯に、そして懸命に子どもたちの声をきき、子どもと共に訴えながら、皆が成長できる社会を目指して頑張りましょう。

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