毒多の戯れ言

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zoom RSS 「横湯園子はささやいた」(1)…いじめのレシピといじめへの加担

<<   作成日時 : 2006/10/30 07:59   >>

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 また岐阜県瑞浪市で中学2年生の女の子が自殺した。
 もうイジメについての記事は書くつもりはなかったのだが、横湯園子(第41回学童全国研究集会,名古屋・基調講演10月28日)の講演をきいたこともあり、もう少し書かなければという気持ちになった。まえの2つのエントリーの考えは変わらないが、横湯さんの話を聞き、もう少し思考を深めた方がよいかな、と思っている。
 だいたいにおいてワタシにはいじめられた経験が(多分)ない。机上の箱から何かを主張しても、イジメる子ども、イジメられる子どもの視点や心理が分からない。分からないままにする主張の「しらじらしさ」を自ら感じてしまう。が、書かずにいられない。性格だな。
 しかし、今回、臨床心理士でカウンセラーである横湯さんがイジメのプロセスとイジメの実際を話されたので、紹介しつつ思考したい。(横湯さんは「ささやく」ように話されたので非常に聞き取りにくかった、喋られたことと異なる部分があるかもしれない)
 まずイジメの仕方だが、……つまりイジメをするにあたりそのプロセスの解説である。

 《孤立化》 
 イジメる奴らは、まず《標的(ターゲット)》を選択する。と、「イジメる奴ら」といきなり言ってしまったが、イジメる側のことにはほとんど言及されなかった。ただ、イジメる側も何か負の原因があってイジメる側になる、ということことをささやかれた。
 で、イジメる奴らは、イジメを「継続」させるために《標的》を《孤立》させる「努力」をする。イジメる側はイジメるだけの理由があると周囲にPRするわけだ。現実にはイジメるだけの理由などあるわけもなく、例えば、些細なふるまいや仕草、また福岡の例のように「教師の言葉」であったりする。イジメる側は《標的》を選択し、「理由」をつける。そして周囲に徹底的にアピールをする「こいつをイジメるのは当然なのだ」と。《標的》になった被害者はたえず自分の行動や持ち物…何もかもを気にしなければならない、という圧倒的不利な立場にある。さらにPR作戦によって《標的》となった被害者は孤立無縁を実感させられる。
 《無力化》 
 《孤立》した時点で相当《無力》化しているのだが、イジメる側はさらに「一切の反撃は無効である」と追い打ちをかける。反撃とみられるものは徹底した暴力で罰せられる。さらには「大人に言う(告げ口)のは卑怯」で「みにくい行為」と思い込ませるわけだ。反復される暴力と「大人にいうのは卑怯」という言葉に洗脳されるわけだな。《標的》である被害者は、イジメる側の「モラル」「美学」を受け入れてしまう。
 《透明化》 
 徐々に、イジメそのものが日常化して、周囲から見えなくなる。「街のなかにいるホームレス」や「大戦中のドイツの強制収容所」やetc.etc.のように「見えなく」なるわけだ。教室でイジメが行われていても周囲の生徒には見えなくなるのだ。被害者にとっても周囲の生徒は「外の世界」の人。現実に実感できるのは目の前にいる「加害者」だけである。「加害者」だけが「被害者」にとって実感できる現実なのだ。これは独裁国の人民が独裁者の眼がいたるところに、いつもいるのと同じ心理的メカニズム、らしい。
  (講演の資料「中井久夫『いじめとは何か』より」を参照)

 つまり、被害者にとって周囲の声は非現実であって何を言われようが届いていない、ことになる。つまりワタシなんぞがいくらブログで叫ぼうがまるで関係ないということになるな。まあ、うすうすは感じていたが仕方ないだろう。しかし、となるとTVニュースワイドショーに届いた多数の「イジメの実態を訴える」FAXはなんだったんだ。やらせか? ワタシには事実は分からないが、上のメカニズムが本当なら《孤立化》または《無力化》する依然の被害者なのだろうか? わからない。
 親は何をしていたか? という疑問には横湯さんはこうささやいていた。
 「40年以上カウンセリングをしてますが、イジメで自殺した子どもの親は言います『自殺するぐらいなら登校拒否でもなんでもしてほしかった』と。でもそれは嘘です。そのとき親は登校拒否を許せなかったはずです。後になったらわかるんです」
 また、多くの親は自分の子にかける言葉も、子どもにとっては責められているのである。曰く
 「しっかり頑張りなさい」「強くなりなさい」「男らしく堂々としなさい」……と、
 しかし、実際に《孤立化》《無力化》に置かれている被害者の耳に届いたとしても
 「頑張れない自分はめめしいと認識され」さらに「強くない自分は駄目なんだ」「男らしく堂々としない自分は生きていても仕方ない」と受け止めるわけで、つまり親(周囲)にしたらよかれとして励ましている?言葉が、実際の被害者である子どもにとっては「責められている」と感じるわけだな。
 これを聞きワタシは考えた。これは親だけでなく、TVやブログやいろいろなとこで叫ばれているから気をつけて観察しよう。つまり、「教師」ばかりでなく、「親」も「TV」も「ブログ」もみんなでイジメられている本人を責めている、といえるのではないか。さらに言えばイジメに加担しているのだ、と言えるだろう。
 実はワタシもよく咀嚼できてないが、「そんなことない!!」と無思考に反論するまえに一度思考することをお勧めしたいし、ワタシも考えなければと思っている。

 また、自殺にいたる依然に、現実のイジメが《透明》になる、ということを強く意識して、あえて、相当意識して見ていかなければならないのだ。TVや新聞で報道され、大問題と感じるまえに、現実に各人のまわりで《透明化》されている事象を、意識して可視化しなければならないだろう。

 さらに、うえに挙げた言葉はイジメに関してだけでなく親が言いがちな言葉、いやいやワタシとて「男らしく…」以外は何度も言ったことがある言葉だけ熟考したほうが良さそうだな、しみじみと感じている。 

「横湯園子はささやいた」(1)…いじめのレシピといじめへの加担
「横湯園子はささやいた」(2)…いじめの実際・便器に顔づけ
「横湯園子はささやいた」(3)…いじめの実際・教師の一言

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内 容 ニックネーム/日時
イジメで自殺したこの女の子は、皆に迷惑をかけてごめんね、って遺書に書いていましたよね。自分がいじめられたことの原因だと思っていて、その矛先が自分に向かって自殺したのかな、と思ったんですが、とにかく痛ましい。
以前、国旗国歌に関して、先生と国の間で悩んだ校長が自殺して、それに便乗した形で、国旗国歌法案ができたはずですが、今回も、教育基本法を変えたら、イジメがなくなるなんて突拍子もにない説明をするやからがいて、それを本気で信じる国民がいる。悲しいことに、それが現実なんです。いくら子供が自殺しても、その悲鳴が大人に届かない、政治家は子供の死を利用する。学力テストを実施して、学校に順位をつけて、予算も配分することにしたいそうですが、子供たちをコマ扱いにす政治屋のほうをどうにかしないと、子供たちの悲劇はなくならないでしょう。そして、死を急いでいる子供たちに、こちらの声が届かないというのは、本当でしょう。
励ましより、共感でしょうね。本当に難しい問題です。法案を変えただけで、イジメがなくなる、という発想自体おそろしい。それほど、イジメは根深い問題ですね。
非戦
2006/10/30 17:10
TBありがとうございます。

アルバイシンの丘さんのところでも同様のことをコメントしましたが、イジメを受けて自己を否定的に捉えてしまっている人は、うつ病の患者と同様の状態に陥っているのだろうと思います。うつ病患者に「ガンバレ!」が禁句なのは広く知られるようになりましたが、イジメられて弱っている人も同様だと思います。健常者にとっては当たり前に受け取れる言葉も、心が弱っている人には強すぎる。身体でも、体調不良のときには通常の食物が受け付けられないことがあるのと同じでしょう。

心が弱っていることを感知するのは確かに難しい。けれど、誰だった多かれ少なかれ、心が弱ってしまってやる気を喪失してしまったことくらいはあるとはずなんです。なのになぜ、心が弱ったことが感知できないのか。おそらくは《透明化》して見えなくなってしまうからではないか。
「弱った状態」は誰にとっても好ましい状態ではない。周囲の者にも、本人にもです。だから見ない。うまく「弱った状態」を切り抜けられた人は忘れるし、抜けきれず死に至る人もどこかに罪悪感を抱えているものです。
愚樵
2006/10/30 19:13
続けてすみません。

「心が弱っている」状態は、実は今の日本には広く蔓延しているのではないでしょうか。私の勝手な思い込みかもしれませんが、若者たちが右傾化していくのも、イジメが蔓延するのも、「心が弱っている」ことに原因があるような気がしてならないのです。

心が弱ると、自分自身への自信がなくなります。それを補うのに、例えばナショナリズムのような大きな物語に縋りついたり、もしくは他人を攻撃して“相対的に”自分の優位を確認して自信を保とうとする。そんな現象がおきているのではないか。

こういった人たちは、イジメに逢っている人たちほど弱っているわけではありません。だがやはり、弱っていることには間違いなく、こういう人たちの心理はなかなか健常者には理解できない。本人も「弱っている」なんて思っていないから、自分の心理状態を正当化しようと(他人の言葉を借用して)論を張る...。

「心が弱っている」のが当たっているかどうかは別としても、多くの日本人が不安な精神状態でいることは間違いないようです。

愚樵
2006/10/30 19:34
非戦さん、いつもコメントありがとう。
「いじめ」の問題は知れば知るほど、深く問題解決は困難そうです。教育基本法改悪に関しては完全に「いじめ問題」が悪利用される、悪利用されていると思います。ヤツラの思う様に「新自由主義」的に教育基本法を改悪すれば、格差は広がり、子どもの「情緒」は「新自由主義」のたくらみを理解できず、いじめはどんどん増えることになるでしょう。はっきり言って真面目に「教育基本法」でいじめがなくなると考えている人がいれば馬鹿です。
 いじめ問題を表面的に解決する方法が、「共感」ということは横湯さんの講演を聞いて感じました。ワタシがいじめ問題の表面的解決を提示するなら、子ども達が真に「共感」し「信頼」できる駆け込み寺的「大人」を各学校に置くことでしょうね。生半可な大人では駄目です。「真に共感し信頼される」大人ですね。
 本来「親」や「教師」がその役割をすべきなのでしょうが……
dr.stonefly
2006/10/31 09:28
愚樵さん、おはようございます。
貴エントリーに書いた中途半端なコメントを読み取って頂き、考えるヒントを頂いた気がします。目から鱗です。なるほどと思います。感謝です。
>「心が弱っている」が日本に蔓延している、だから右傾化している。
こうして考えるとワタシが記事に書いた様に、右傾化している「被害者」と会話が噛み合なかったことに気づきます。まさに「いじめの被害者」と「周囲の人間」のように。このことはブログで右・左ということを書くうえでも、留意しなければならないかもしれませんね。
 ところで、「いじめの被害者」と同様に「右傾化する若者」の心が弱っている、とすると解決策は「共感」ですか? 「弱っている原因を知り」「共感してあげる」ですね。うーん難しそうですね。
 どうも「いじめ」など現に目の前にみえていない問題については、偉そうに書いてますが、ブログなどで右傾化した若者と対峙するという、現実に目の前にある「めんどくさい問題」には、逃げ腰の自分を感じます。こんなことではいけませんね。うーん困難そうだ。この困難さから逃げたら教師批判はできないということなのかな。
dr.stonefly
2006/10/31 09:28
お早うございます。
連日の報道に心が痛みますね。
何とか助けてあげられなかったものかと・・
かれらは、病理的に”うつ状態”で、
(そのようにさせられてしまった、現実があります。可哀想でなりません。)この世をはかなんでしまったのでしょう・・
”駆け込み寺”が早急に必要ですね。
オシャレな”教育相談者”のようなものでなく、困ったら逃げ込める所、もちろん学校外での設置です。こっそりと逃げ込める所です^^;
una
2006/10/31 10:48
unaさん、コメントありがとう。
横湯さんが、「ささやく」ように話をされたのは、カウンセリングのときのように話されたのでしょうね。そんな人のいる「駆け込み寺」が、やはり学校の外につくられるべきでしょう。各学校に、と書きましたが訂正します。学校のつまらぬ息のかからぬことが大切ですね。
しかもいじめられる前にその存在を知ってなければならない。難しそうですね。本来なら自分の家が「本当の意味で」駆け込み寺にならなければならないのに……。考えさせられます。
dr.stonefly
2006/10/31 17:01
再度おじゃまさま^^;
>本来なら、自分の家が・・・
でも、子供心はなにかと複雑なので、
(親に心配掛けたくないとかの配慮等)
やはり、第三者で話しやすい所&人とかを
考えてもいいと思います。
親心って、(親になってみて思うには)案外と子供には伝わり難いものなんだな〜と気が付きました^^;(ウチだけかも?)
una
2006/11/01 13:40

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