彼女の悩みは



彼女は悩んでいた。
彼は悩みを相談された。
それはちっぽけでつまらない悩みだと感じた。
まったく悩む必要もないことだと、彼は思った。
彼にはすぐにアドバイスが浮かぶ。
それは的確で素晴らしいアドバイスだった。
彼は優しく親身になってアドバイスを伝える。
ありがとう、と言った彼女の言葉は乾いていた。
彼女はアドバイスに従うことができなかった。
彼女はそれからも悩み続けた。

相変わらず彼女は悩んでいた。
君は悩みを相談された。
それはちっぽけでとるにたらない悩みだと感じた。
君はすぐに的確なアドバイスが思いついた。
でも君はそのアドバイスを口に出すことなく呑み込んだ。
とりあえず悩みを最後まで聴こうと思ったから。
彼女の言葉を繰り返しながら確認した。
彼女の言葉にただ頷き、彼女の悩みを聴き続けた。
君は、彼女の言葉に痛みを感じた。
じれったさやつまらぬ固執を感じた。
それでも一言ひとことを受け止め頷き続けた。
どんな言葉も彼女のなかでは真実だと考えた。
どれだけの時が流れたのだろう?
どれだけの言葉が絞り出されたのだろう?
彼女は突然口を閉じた。
短い沈黙。
涙が一筋流れた。
彼女は両手で顔を覆い泣いた。
すすり泣き続けた。
どれだけ我慢しつづけていたのだろう。
君は黙って彼女をみつめた。
聴いてくれてありがとう、、、
ふと彼女はつぶやいた。

君は彼女の奥にある本当の悩みをしった。

いつしか彼女はまた語りはじめた。
自らの悩みを見つめるように。
彼女は自ら「的確なアドバイス」にたどり着いた。
君はただ聴いていただけだった。
やがて彼女は新しい言葉を語った。
彼女は笑みを浮かべていた。
彼女の瞳は輝いていた。

君は映るもの全てが輝いてみえた。

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