「2008追悼集会」…あの・野郎が・死んだ

 8.14……夜…、今年もまた、この一年の路上の死とオレが生きる社会を確認するため「追悼集会」へ行った。毎年ワタシの知らない運動家がふえ、顔見知りの古くからの活動家が少なくなっていくことから、ワタシ自身が如何に運動と接していないかを知る。追悼集会もふくめて、年に数回だが、なんとか繋がっていたいと思っている。
 
 今年は息子を連れて行った。
 どこへ行くの? と聞く息子に答えようとするのだが、息子の解る言葉を選ぶことができず、答えることができないまま連れていった。
 オレが、次々に報告される死んでいった野宿者の状況をきいている間も、息子は、辺りを走り回り、いつのまにやら、えぐれ笹島さんや青カンのおっさんや支援の兄ちゃんと喋っている。
 あいつは人見知りしないいい子だな。
 と思っていると、死者を報告する声が知っている名前を告げた。
 「○○さん、バルさんと呼ばれていました……」
 えっ、バル……、ってあの組合のバルかよ。
 あのバルが死んだって?
 あの嫌われ者、ゴキブリ、バルさん……の、バル。
 しぶとい筈のゴキブリのバルが死んだって?
 ぼろアパートで死後、何日もたってから発見された、という。
 そうか、あのバルが死んだのだ。
 まだワタシが現場にいてイケイケだった頃のいくつかの場面が甦る。
 
 バルは、ちょくちょくオレたちに言った。
 「偉そうにモノを言うな!! おまえら支援は、金だけだしとればいいんだ」

 その都度オレは、(クソが、オノレは、なんぼのもんじゃ!!)……、唇を噛み締めた。

 それでも、口に出して言えなかった。悔しかったが、結局、帰る家があり、自分の生活があり、余暇で運動をやっている。どこまでいっても中途半端な関わりしかできないことが解っていた。当該として運動をしている人間と、支援として関わる人間。絶対逃げることのできない当該と、逃げ場所のある支援者。
 言われるたび「クソ、このやろうが」と剥きになって、睡眠を削って、金もだし、へろへろになって動いても、やはりオレは支援だった。結局そこから逃げた。その終わりのない泥沼から逃げた。逃げる場所があった。バルの言葉が正解だった。

 「なんぼのもんじゃ!!」は、オレにこそ似合う言葉だったのだ。

 各団体のアピールがされ、集会は終わり焼香を促された。
 いつものオレは焼香をしない。知らない人々の想像もつかない人生をカタチばかりの焼香で手を併せて、なにを語りかけようと言うのだ。
 それでも今年はちゃちな祭壇のまえにたち、バルの遺影に向かって言ってやった。
 「ようバルよ。偉そうに抜かしたわりには、何も変えられないまま死にやがって。オレはオノレの言葉をきっちり背負ったまま、しつこく関わってやるさ。でもな「支援」じゃねえぞ。この腐った社会からは絶対、逃げ切れないんだからな。この腐れ社会では、オレは『支援』じゃなく『当該』なんだから、……結局は逃げることが出来ねぇことは、オノレに偉そうに言われなくても解ってんだよ。……アバよ、」

 多くの青カンのオッさんが焼香もせずに、炊き出しにありつくため、行列をつくっている。
 
 オレは息子に話かけた。
 「ここにいる人はご飯が食べられずにここに並んでいるんだよ。君は今から帰ってご飯食べれるよね。明日の朝も食べれるよね。明日の夜も食べれるよね。帰る家もなく、食べるものもないんだよ。」
 息子は神妙な顔をして、200人以上いるおっさんらを見つめている。
 「わかる?」
 「うん、、、、、」
 200人のおっさんらをじっと見つめている。
 「むこうのお姉さんは、お金がなくて病院にいけない人の診察をしいるんだよ。こっちのおっちゃんは『夜回り』っていって、夜、家のない人を訪ねて回っているんだよ」
 言葉がどんどん息子の目と肌から吸収される。その空気を吸い込んでいる。

 「こんど夜回り行ってみる?」
 「うん」、……笑顔で応える息子をバルに見せつけてやる。


 ふん!! バルよ、こんなもんだ。

 
 

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この記事へのコメント

非戦
2008年08月21日 15:21
dr.stoneflyさん
こんにちは。追悼集会に息子さんをつれて行かれたこと 息子さんに話されたこと そしてdr.stoneflyさんがバルさんに話し掛けられた言葉 などを読んでいると なんて言ったらいいのかなぁ ウソのない世界がここにある!と思ってしましました。その証拠に

>言葉がどんどん息子の目から吸収される。
>「こんど夜回り行ってみる?」
>「うん」、……笑顔で応える息子をバルに見せつけてやる。

私が何も一度も関わってこなかった野宿者のこと dr.stoneflyさんのブログで読ませていただくたびに 読むだけですませてしまっている自分がすごくわかってない奴!と思うんですが。。。思っただけですませってしまうことにまた自己嫌悪。きっとここまで いろいろ考えておられるdr.stoneflyさんをうらやましい?と思っているのかな。わけのわからないコメントになってしまいました。
dr.stonefly
2008年08月21日 16:22
非戦さん、こんにちは

読むだけで済ませてもいいですよ。
なんやかやと言っても、やはり知ってもらうために書いているわけですから。
ワタシの記事を読んでもらうことで、リアルで野宿者をみたときの感じ方が少し変わっていたら、ワタシは嬉しいです。

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