「ワーキングプアⅢ」(2)…米と英の就業対策のこと

 NHKスペシャル「ワーキングプア3」~解決への道~のつづきである。
 番組では、海外の事例を紹介しながらワープアの解決を図ろうとしているのに、前記事(1)ではいきなり汚い日記ととんでもない妄想に飛んで行ってしまった。だけどお詫びはしない。そんなブログなのだ。
 でも今回は番組の紹介に徹しようと軽い決意をする。

 さて、アメリカの例である。
 アメリカの現状としてブライアンフェリーさん46歳が紹介された。
 彼は学校を卒業後いったん就職をしたのだが、コンピュータのプログラムの学校で勉強しなおし、29歳で銀行のコンピュータのプログラムの仕事を得た。このときの収入が1000万円/年。しかしこの後、プログラムなんかをふくめアメリカのIT関連の事業は、コストの安いアジアに移行していくんだな。それで彼も失職をして今はキャンピングカーで暮らしている。仕事はファーストフードの店長で部下一人。1日10時間以上働いて15万円/月だという。
 今46歳なのだが、この歳になって16歳のときやっていたのと同じ仕事をするとは思わなかった。という。
 健康が心配で高血圧で医者にかかりたいが、今の仕事には健康保険はついておらず、貧困層向けの安い病院は外にまで待ち人が溢れ出し待ち時間は10時間。彼は最後につぶやいた「アメリカンドリーム」はどこへ行ってしまったのか?ってさ。

 で、ブライアンさんの話はこれで終わり。番組で彼の問題は解決されなかった。今アメリカではIT関連の技師の失職が多いということの紹介だね。ワタシからブライアンさんにして上げれることは何もないけど、高血圧で健康が心配ならタバコはやめようね、ぐらいのアドバイスしかできない。
 番組でアメリカでの解決策の例の話になるのは、ブライアンさんとは違う州での例である。

 ノースカロライナ州はもともと家具の製造が地場産業だったが、中国産の家具に押されて斜陽産業になる。
 そこで、州政府は「バイオテクノロジー」関連の企業436社の誘致をした。それと並行して、136億円ほどをかけバイテク専門の学校を建てたのだ。高卒程度の学力で入学できて、バイテクの研究を補助する仕事を勉強する。学費も政府と企業の寄付で15万円/年におさえ、講師も企業に依頼するわけだ。このバイテク産業は(たぶん技術面での流出を防ぐため)政府の方針で厳しい規制が図られており、グルーバル化の影響を受け難いところに注目したわけだな。
 3年で1万人が地元企業に就職した。企業のほうも地元の人間を積極的に雇い、州政府も1200億の税収入の増加がはかれた。

 これなんかは、人を育て、生活できる土壌を造るという政府の役割りを果たしていると言えるのではないか。人を使い捨て、企業経営陣をだけを太らせ、お題目だけの「再チャレンジ」などとほざく日本の政府は見習うべきだな。また変わらず「自己責任」などと聞こえてくる国は是非見習ってほしい。
 さて次はイギリスの紹介だ。

 イギリスはリバプールだ。リバプールといえばビートルズを思い出すがここでは欠片もでてこなかった。いや紹介されていたワープア青年がポールだったが、マッカトニーとはまるで関係なかった。
 イギリスはもっと明確に方針を打ち出している。

 貧困が次の世代に引き継がれることをなくそう。
 これからの世代を国家の責任で支えよう。


 ということで英政府は税収入15兆円を次の世代のために積極的につぎ込んでいる。
 具体的には、支援員という職の人々が街にでて、街を歩く青年たちに聞き回るのである。
 「仕事で困ってない?」ってね。
 で、困っているというワープア青年がいたら就職を斡旋し、仕事ができるまで面倒をみるのである。番組では一人のワープア家庭の青年がクローズアップされていたが、国家はそうしたそうした境遇の青年を家庭だけに任せていても問題の解決は図れないとし、積極的に就労支援をする。
 青年に電化製品のリサイクルの訓練をうけさせる。資格をとらせたりもさせ、就職させる。国はそうしたリサイクルやら介護などの「社会的企業」に1億3000万円の補助金をだし青年のような訓練生を雇用するように働きかける。その結果5500社が補助をうけ30万人のワープア青年が就職したという実績をつくったのだ。

 社会のために働き、それで生活もできる社会であればいいはずのなのだ。
 企業の経営陣を儲けさせるというだけの実感ではなく、社会に役立っているという実感が欲しいのである。
 働ける、働きたいのに、生活保護などの福祉を受けなければならない社会は歪んでいるといえるだろう。
 国家は一体どこに金を使うんだ。働ける土壌を整えれば生活保護費などの出費もすくなくてすむのではないか? 
 働ける土壌も造らない。むしろ使い捨てる。そのため増える生活保護費も締め上げる。知恵を使うのは締め上げることだけかい?
 それは余りにも脳がないと言えないだろうか? え、ニッポン政府よ。
  

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この記事へのコメント

kuroneko
2007年12月20日 14:31
dr.stoneflyさま
 柄にもなく社会問題を、困窮者、ホームレスなどのことを考えようと思っているのですが、あたしの柄だとネタ系エントリになってしまうので、どうしたものかと思案投げ首。
 国営スラム推進化法案(発展途上国のようなスラムを積極的に作る)なんて、現実に困っている人を差し置いて、ネタエントリ作っていいものか。
途上国への目線、住宅政策、小市民的生活様式、などを複合的にずらすというか笑うというかする狙いではあるんですが。滑ってただの悪ふざけに陥ったのではでは情けないし。
さめ
2007年12月20日 14:40
国のお金が無料ガソリンスタンドだのミサイルだの軍事にばかり消えてしまうのがくやしいです。
昔の名前で出ていない伝統行司
2007年12月20日 17:26
リバプール在住のポールさんをマッカートニーに掛けるのなら、元IT勤めのブライアンフェリーさんをロキシー・ミュージックと掛けて欲しかった。。。一見同じ文化圏に見える米英でも、政治面で見ればはるかに英国の方が成熟した国家です。保守/労働が交互に代わる二大政党制による自浄能力、英国病を克服できた英国はなかなかしぶといです。高収益、高所得を得るのは神からの思し召しなんていう宗教国家米国とはエライ違いです。福祉政策なんて信仰心(勤勉さと出世欲)がなかったからだって言われそうですね。すいません、長くなりましたので続き書かせてください。
昔の名前で出ていない伝統行司
2007年12月20日 17:27
(続き書きます)
いつもいつも、長文ですいません。
それにしても英国すごい。ワープア青年は、ハローワークへ行かなくても就職斡旋してもらえるなんて。失業者に対する対応もさることながら、社会的企業にワープア青年雇用の契機となるような補助金制度という税金の使い方ですよ。日米のようにやたら不可解な付加価値がつけられて、ちょっとづつ取られていくみたいな支出体系では考えられませんものねぇ。川に例えて言えば、矢田川と堀川みたいなもんですか、なんて在名ブログ主にウケ狙いしちゃった。もう一言加えるならば、そんな英国のソッチ方面に廻す財源、いったい何でしょうか。よほど効率よく民間が儲け、よほど容赦なく税務署が取っていくんでしょうか。全盛期のポールは95%取られてましたから。
dr.stonefly
2007年12月21日 21:05
kuroneko兄さん、別にネタでもいいんです。皆がみな、シビアでヘビーなエントリーアップしていたら、息苦しくて仕方ない。ワタシもホントは何もかも笑い飛ばしたいんですが、性格がbluesなのでダメそうです。ワタシのためにも兄さんとこやゴケアマさんのとこで息を抜かさせてください。
dr.stonefly
2007年12月21日 21:06
さめさん、ごめんなさいね。今、自分とこのローカルな問題が切羽詰まっていて気持ちが辺野古に飛ばないんです。辺野古の問題にくらべたらちっぽけな問題かもしれませんが、今周辺で起きている問題は、ワタシが初めて当該として実感することになるかもしれなく辺野古に気持ちが飛びません。ほんと申し訳なく思ってます。
dr.stonefly
2007年12月21日 21:07
伝統行司さん、いつもロクなレスが返せなくて申し訳ありません。
イギリスのワープア対策は「本気」を感じました。私が子どもの頃習った「累進課税」も最高75%だったような気がしてますが、今はぜんぜんらしいですね。例えるならドブ川と長良川ぐらいの違いのような気がします。
アメリカなど基本的にだめでしょ。
あ、そうそうワタシはロキシーミュージックは聞いた事がなく、ブライアンフェリーのことは知りませんでした。番組のメモをみなおしたら「ブライアン・ラフェリー」と書いてあったので記事のほうは打ち間違いだったかも(爆)

PS、堀川は矢田川の支流でしたね。
非戦
2007年12月25日 14:31
イギリスの取り組みはよかったですね。
国の方から、職のない人に声をかけていましたが、日本と大違いです。日本の多くの福祉事務所の窓口は屈辱的だそうですね。そうやっている国や地方自治体の政策が悪いのですが。仕事をしたら、生活保護費をもらわないくても生活でき、最低生活費以上が給料として支払われるべきです。仕事がない、病気したというときこそ 国民は国に守られるべきなのに死の商人と米軍を経済的に支援してどうする!と怒りが込み上げてきます。
dr.stonefly
2007年12月27日 08:00
>死の商人と米軍を経済的に支援してどうする!と怒りが込み上げてきます。
全てが万事こうした流れできてますね。
どこで断ち切れることやら……

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