「雨宮処凛トークライブ」(番外)…彼女についての違和感

 雨宮処凛のトークライブで感じた微妙な違和感をやっぱり呟いてみる。
 ホントはスルーしようかと思ったのだが、いまだにトークライブで感じた違和感がひっかかってたり、その後エントリーを書きながら感じたことを愚樵さんとこにコメントしてしまったり、S君のところで胡散臭さを感じているフリーター当該のコメントをみたり、かとおもったら、前の記事に>ネット上で彼女に共感している若者をみたことがない、なんてコピペのコメントが残されたりしたものだからスルーする気分じゃなくなってきた。
 ワタシが愚樵さんのとこに思わず書いてしまったコメントは、もともとワープアだった雨宮処凛がワープアネタで安定層になったことについて、自己矛盾を感じないのだろうか? という疑問だった。ワープアネタでメシを食うということは、ワープアが解決したらまたメシが食えなくなるという矛盾。さらにいうならワープアの状況が悪くなれば悪くなる程、彼女の安定度は増すのではないか?なんてイジワルな考えが浮かんだが、よく考えてみればジャーナリズムの否定につながりかねない。というよりも、ワタシ自身、書くことが仕事になれば書くことだけに没頭できる、もともとそんな仕事をしたかったのではないか?などと淡い夢をみていたことを思い出し、彼女が書いて食ってることへの「ヤッカミ」かもしれないと思ったわけだ。と、この辺りが(仮)安定層のワタシのスルーしようと思えばスルーできる違和感。

 現ワープア層にとってみて、彼女に対する面白くない気持ちは容易に想像できる。脱ワープアした彼女は突出した存在。しかも自分たちが苦しんでいるワープアネタで食っているなんて、許しがたいものがある。しかも現安定層の彼女が自分たちの代表者のように物を言い物を書く。まったく面白くない。赤木君のように「安定層は仮想敵」という深層心理がどこかにあれば、安定層とつるんで偉そうにものをいう裏切り者と思われるかもしれない。
 ふと、昔していた活動のある場面が甦る。ワタシたちはあまりに分断された青カン(ホームレス)に連帯を呼び掛ける。集会やらデモやらを企画する。最初はワタシたちのような集会を企画した「支援」がマイクを握り情宣をする。でもね、やっぱり白々しいのさ。ワタシたちは「支援」ではなく、青カンの問題もこの社会にいるワタシたちの問題であり、ワタシたちの運動でもあるのだ。なんて言ってみても、現実には帰る家があってその場だけの「仮当該」が呼び掛けたり訴えたりする姿が浮いたりしてね。でもそんな「仮当該」の呼び掛けにも応えてくれる「ほんまもんの」青カン当該がでてくる。勢いがあり弁のたつリーダーになる青カンだね。呼び掛けに呼応してくれたのは、ほんまもんの当該である。「仮当該」は嬉しくなる。といってもその青カンは、運動の構想や方針をもっているわけではない。支援(仮当該)活動のほうも「便利遣い」のように彼に方針やら方法やらを相談しつつ次の手を考えるようになる。でもね、じきにその青カン当該のリーダーは「優越感」をもつようになるのさ。もともと特別な存在である「仮当該」と運動の進め方などを練るうちに特別な存在になっていくわけだ。青カンリーダー自身も次第に勘違いしていき他の青カン多数に指示したり、威張ったりしてさ。そうでなくても多数にとって突出するヤツは面白くない。こんな感じで連帯をめざした活動が分断をよんだりする。でもね、おそらくそこを乗り越えないと次には進めないのだろうことも事実なんだよね。

 ところで、とりあえず今のところワープア当該でないワタシは何故雨宮処凛に違和感をもったのだろう。うえに書いた「ヤッカミ」が違和感の大きな原因でないことは、今の彼女の位置と替わりたいとは思わないからだ。
 実は、彼女の自信、断定的なもの言い、間違いのないという信念、運動が楽しい、その会議やデモや活動やイベントが楽しいという言葉、そんなものから醸し出す空気が昔のワタシ自身が発散させていた空気を臭わせた。なんの疑いもなく自分を貫き、そんな自分に酔い、生活の多くの時間を削って運動に埋没していた頃の自分、それこそ無知で思索のない通行人にさえ絡んでいた迷いのない自分、そんな自分を思い出したための違和感かもしれない。あれ、あれあれ、トークライブで感じた違和感は、つまり彼女、雨宮処凛への違和感ではなく、過去の自分への違和感ではないか?
 結局、なんちゃって哲学的思索に嵌まってしまい、「ホームレスじゃないと見えないものがあるのではないか」とか、「ダンボール村にこそ真理がある」なんて言ってしまう今のワタシが、単純一直線だった過去の自分への違和感だったのかもしれない。

 で、雨宮処凛なのだが、ワタシの感じた違和感が彼女に対してでないと解った今、彼女を応援しよう。「出る杭」として叩かれるかもしれないが、上でも書いたよう出る杭がなければ次へは進めないだろう。今後彼女がどうなるかは、彼女自身の問題でワタシが兎や角いうことではない。ただ、今、以降の彼女には、社会のせいではない、本当の意味での「自己責任」が問われるのかもしれない。
 


「雨宮処凛トークライブ」(番外)…彼女についての違和感
「雨宮処凛トークライブ」(3)…自己責任ってなんだ?
「雨宮処凛トークライブ」(2)…スラム化するのは渋谷と名古屋だ
「雨宮処凛トークライブ」(1)…やさしい右翼、難解な左翼
「雨宮処凛トークライブ」(0)…とりあえず赤木君の宣伝をば

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この記事へのコメント

愚樵
2007年12月10日 07:20
>以降の彼女には、本当の意味での「自己責任」が問われるのかもしれない。

根拠はありませんが、彼女は大丈夫だと思います。純粋一直線はその通りなんでしょうし、その通りならいろいろと壁にもぶつかるでしょうが、彼女は基本的に「連帯の人」でしょうから、どこからか何かの答えを見つけることができると思います。

不安なのはやはりA氏の方です。彼は「分断の人」ですから、やがて煮詰まってしまうでしょう。知性が高くいろいろなことに気がつけばつくほど、煮詰まっていく。

そう考えると、やっぱり可哀相な人かな。

危惧するのは、権力側に利用されないかどうか。拙ブログでは橋元徹氏と比較しましたが、もうひとり、似通ってくる可能性があるのは本村氏かもしれません。
kuroneko
2007年12月10日 11:00
雨宮処凛さんて、もともと「有名人」だと思っていたのですがね。知る人ぞ知るかな。8年前から映画で取り上げられて知られた存在ですし、個人情報保護法案反対運動の時、あったことがある。もともとはパンク右翼さんですね。

http://www.st.rim.or.jp/~yt_w-tv/home.htm

右翼から左方向に行くのは珍しい。裏切り者ということで、秘密結社「国賊死ね死ね団」団員が「左翼に使いまわされているのだ」みたいなコメントで情報操作しようとするのもありがちな話。
dr.stonefly
2007年12月10日 18:41
愚樵さん、こんばんは。
A君が可哀想なのは、孤立することでマスコミ的存在意義があること。本村さんのようになれば非常に危険なのですが、どちらかというと亀田クンに近い気がしてます。頭のいい亀田クン。本村さんのように大多数に指示されているのではなく、亀田クンのように大多数にこき下ろされている。
しかもそれほどメジャーじゃない。あれメジャーじゃないってのは、ワタシの認識不足なんかな?
dr.stonefly
2007年12月10日 18:42
kroneko兄さん、雨宮処凛は有名人だったんですか!? ワタシが知ったのはここ1年以内で、ワープアが取りざたされるようになって、一躍踊りでたのだとばかり思ってました。鳥肌実は知っていたんですが、雨宮処凛は知りませんでした。
情報の地方格差だ~。
このブログのコメント欄に2ちゃんからコピペされたのも、「国賊死ね死ね団」団員によるものだったのかな?
ところでA君はメジャーなんですか? 知らない人が多い気がするんですけど……。
非戦
2007年12月18日 10:22
dr.stoneflyさんが、雨宮さんに感じた違和感と次の内橋克人さんの文(「世界1月号」)が、わたしは重なって思えたので、転載します。

ーーーここから内橋さんのご意見を転載

私が一番恐れるのは、貧困・格差すら、今や商品として消費されてしまうこと。
現代社会の、所与の、既定の、もはや変えようのない社会構造ででもあるかのような装いをもって流通し、認知されてしまう。貧困の消費、風化が政治の求めるまま進んでいるのではないか、ということです。
---------
dr.stonefly
2007年12月19日 08:11
非戦さん、そういう面もあります。
これは「全てが解決した世界で何をする」でも書いてみたり、「このブログはダブルスタンダードか」という記事でも書きました。
ワタシのなかでも解決できない問題です。
やはり雨宮処凛への違和感ではなく、自分自身への違和感なのでしょう。

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