「裕福な街での貧困デモ」…クラクラする日曜日

 先週の土曜日、ふらっと寄った本屋で偶然みつけた「下流志向」(内田樹)を買って読みはじめ、さらについでに借りてきたDVD「ダーウィンの悪夢」をみて、脳みそをくらくらさせながら「貧困をなくせ10.28街頭大行進」という集会&デモに行った。
 「下流志向」も「ダーウィンの悪夢」もそれだけで記事が書けるほどで、また書こうと思うが、その「下流志向」を読む途中に「ダーウィンの悪夢」を観たってのが脳みそをシェークしたに違いない。溶け出しそうなドロドロの脳味噌をかろうじて頭蓋骨内にキープして「集会&デモ」にむかって自転車を漕いでいた。

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 さて、今回の集会が行われたのは名古屋のど真中、三越の前の栄公園である。
 秋晴れの日曜日の昼下がりということもあり、この中心街は多くの人であふれている。といっても格差社会をなくせー!!と、叫ぶ集会に集まった人ではなく、多分、金銭的にはそれなりに裕福な人々である。そうした大多数の人々のまっただなかで、数十人の集会が行われていた。
 昔はそうでもなかったが、すっかり「普通」に慣れてしまった最近ではこうした集会に参加を表明する(輪の中に入る)のは、ちょっとした勇気がいる。
 ね、「普通」でいけば、貧困というのは隠したいという感覚だろ。
 またまた「普通」では、貧乏が恥ずかしいという感覚もあるだろう。
 もちろん、貧困も貧乏も格差社会の産物で、恥ずかしいとか隠したいという感性も「自己責任」だというヤツラの煽動によるものだということは頭では解っている。それを黙ってしまったり、見ぬ振りをするのはヤツラの望むところであり、集会自体もそれを是正するための集会なのだ。表明しなければ始まらない。

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 でもね、一旦「普通」に馴らされてしまうとやはり、ヤツラの術中に嵌まってしまう。つまり、その集会の輪の中に入る事に、「普通」の恥ずかしく隠したいという感覚からの解放が求められるわけだ。
 そんな「自己批判」をしてみたりはするが、また勇気というほどのころではないのだが、周囲から注目を集めていることに軽い抵抗感がある。
 まず客に見られてないかなぁという抵抗感がある。さらには周囲には「私服」も何人か確認できて、活動から離れて何年もたっているのできっと既にリストからも外されていると思うのだが、またチェックされるのは鬱陶しいなぁ、と日和ってしまったりというひ弱さである。
 ほれ、昔とちがい今は子どももいるわけだから状況も変わっている、などと言い訳をいってみたりする。あーあ、軟弱だねぇ。

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 まあ軽い葛藤に打ち勝ち集会の輪のなかに入る。集会のあとのデモは三越、松坂屋、パルコと並ぶデパート街を一周というコースである。
 デパートの周りを闊歩する何千という貧困からほど遠い買い物客に「貧困をなくせ!! 格差社会是正!!」とアピールする。しかも何十というポリコに囲まれながら。これは凄いぞ。休日にお洒落をして買い物にくる人々に、青カンはじめお世辞にもこざっぱりとはいえない貧困ピープルがアピールするわけだ。コントラスが強烈である。さらに注目度もすごい!! デモンストレーションの効果は抜群である。あるか? え、あるの?
 この雑踏をつくるデパートピーポーはどう見てるんだろうねぇ。
 貧乏ピーポーが何か叫んでるわ、負け犬のくせして、だろうか?
 いやいや、ああはなりたくないねぇ、恥ずかしい、だろうか?
 ポリコに囲まれて犯罪者じゃねぇの、かな?

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 一人でも、「この人達は何を言ってるんだろう?」なんて疑問を持ってくれればいいのだけどね。「格差社会ってなんだろう?」なんて、心の片隅にでも引っかかってくれればいいのだけど……。ほれ、デモする方もね、欲求不満を解消するためにやってるわけじゃないんだからさ。ないんだよね。……ないよなぁ、ないない。でもね、日曜日にデパートに群がるピーポーにアピールして解るのかなぁ、なんて考え出すと、何だか哀しくなるよな。
 そんなこと考えながら、ダラダラと歩くとダーウィンの悪夢の絵が浮かんでくる。
 日本は、アフリカのタンザニア、ビクトリア湖周辺のようにはならないかな?
 加工後のナイルパーチ(魚)の残骸、ウジのわいた骨を干物にして食い物にしなければならない、なんて考えられない。それさえ喰えないストリートチルドレンなんてまるでリアリティないよね。

 デモも終盤だなぁ、なんて思いながら歩いていたら遠くに横断幕を携え何かを訴えてるグループが見えた。あれあれあれ、ビルマに平和を!! だって。軍事独裁政権に抗議するぞ!! だって。
 こっちのデモよりずっと少ない人数でやってるよ。それでもやってるんだよ。
 お、エールの交換だ。「ビルマに民主化を~!!」「貧困問題は各国共通だ~!!」
 なんかいいな。頑張れー!! いいぞー!!
 まだまだ日本も捨てたもんじゃないね。
 たったこれだけのことでも、希望が見えるな。
 オイラも単純だな。また頑張ろうかな。

 東大阪の結果も残念だった。
 でもね、多くの票がはいったんだ。仲間はいるよね。
 
 
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この記事へのコメント

非戦
2007年10月29日 19:14
写真入りでとても様子が良くわかります。
警官のほかに公安の私服もいたんですね。嫌なの。公安は、自分達は金持ちだと思っているのかしらね。どうしても心理がわかりません。ビルマの政権を支えているのは日本政府。将来政府が軍事政権のように露骨な市民弾圧を命じたとき、公安はそれをやってもいいと思ってビルマのデモを見ていたんでしょうか。
三越前で買い物が趣味みたいなマダムの心境を聞いてみたいです。デモやりながら、見ているほうはどう思っているか、って考えますね。人ごとかと思っているのか?よくやるよ、とあきれているのか?デモにくわわりたいけれど,ちょっとはずかしいのか?今の社会がおかしいと思ったら、途中からはいればいいと思うのですが。
東大阪は勝ってほしかったなぁ~


BLOG BLUES
2007年10月29日 19:58
こんにちは。勇気を奮ってのデモ参加、ご苦労様です。この勇気を奮わないと参加できなってとこが、考えどころですね。「みんななかよく」や「弱い文明」が、よくエントリーで取り上げていましたが、デモ隊と一般通行人の「境界」をなくす。ここの創意工夫が必要なようですね。敵は、「境界」をつくろうとする。東大阪の「共産党排除」も、まさにそれ。これを突破するために、長尾候補には、どうしても勝って欲しかったのだが。くそっ。
普通
2007年10月29日 21:56
あのデモは、何のためにやっているのですか?仕事がほしいのですか?ニート、フリーター、派遣労働者etc、皆自分で、その道を進んで来たのですよね。途中で、違う道に行くことも可能ですもんね。最初からこれしか道がない人なんていないわけで、いよいよどうしようもなくなって、皆で声をあげたら、何かもらえるかも?って思って参加している人が多いんじゃないの?「自己責任」に批判的なことを言う人もいるけど、国が国とか自治体が助けるのは最後で、それまでは、自分で歯を食いしばってがんばらなきゃね。
dr.stonefly
2007年10月30日 13:15
非戦さん、今回は最初から記事を書くつもりでデジカメを持ち込みました。
私服とはいっても、あれ私服風の制服だったかな? 隠すことなくカメラとビデオで取り巻くっていましたねぇ、データ集めでもしてるのでしょう(笑)。って笑ってる場合じゃなく、例によって先鋭的活動家と揉めてましたけど……。
三越前のマダムには、何がなんだか、さっぱりわからないでしょうね。この世の出来事と思ってないんじゃないですか(笑)、ってこれも笑えないか。
ね、東大阪は残念でした。


兄貴、ワタシは楽観してたのですが、駄目だったですね東大阪。デモの境界もですが、心の境界はなかなか払拭できませんねぇ。
デモの方は参加者が11万人とかになれば、自然と境界がぶっ飛びます。創意工夫ではなく、そんな風景を見てみたい。
それと本文では「勇気」なんて書いてしまいましたが、実際はそんな大層なもんじゃないです。はるか昔の「初めての告白」のほうがドキドキしましたね(笑)。
dr.stonefly
2007年10月30日 13:16
普通さん。こんにちは。
あのデモは何だろう?と思って頂ける方がみえて良かったと思います。
現状言われている、新自由主義、構造改革などは格差社会につながり、
>ニート、フリーター、派遣労働者etc、皆自分で、その道を進んで来たのですよね。
という認識が間違っているといえますね。
また、たまたま今の自分がそうではないといって、いつ格差の下の方へ追いやられるかは解りません。もちろん自己責任じゃなくてね。また、たまたま今「普通」でいられても、その生活がどういう犠牲のうえで成り立っているかも知るべきでしょう。
それと、国や自治体は「裕福層」をさらに富ませようとしますが、貧困層を助けようとはしませんよ。金持ちに優しく、貧乏人に厳しくが、今の日本の姿です。
デモ自体は仕事をくれ、とも叫んでますが、デモをしたとこで仕事が得られるものでないことは皆解ってます。むしろ、この社会の格差の是正、その根本的な原因を多くの人に考えて欲しいということが目的でしょう。
そまん
2007年10月31日 20:00
私は最近、stoneflyさんたちのような軽快なフットワークを取れなくて、非常に申し訳ないんですが、11月3日の恒例の鶴舞公会堂での集会には何とか行こうと思ってます。今年の集まりがどのくらいになるかはわかりませんが、去年くらい集まれば、少なくとも孤独感は感じずにはすむと思うんですが。
そまん
2007年10月31日 20:04
ところで、本筋からはずれるかもしれませんが「ダーウィンの悪夢」って、どんな内容なんでしょうか。私は読んでいませんが、興味があります。まさか、ダーウィンの今まで主張してきた事は全部嘘っぱちで、それを信奉してきた方々が、悪夢を見ていたってんじゃないでしょうね(笑)
dr.stonefly
2007年11月02日 09:06
そまんさん、「ダーウィンの悪夢」はDVDになってますので、レンタルして観ることはできます。
仰る様にダーウィニズムの悪夢という側面も描かれている気がします。ただ、ダーウィニズムはご都合的に解釈されたものなので、ダーウィンの主張とはちがうかもしれません。(TB頂いた「へなちょこ自然主義」のladybirdさんの記事に詳しいです。)
DVDの方は、けっこうキツいドキュメンタリです。一度ご鑑賞を……
貧乏人
2007年12月12日 12:00
あの集会は反応よかったですね。

通行人に「貧乏人の大行進です!!」といったら、ジェスチャーで「自分もだ」と示してくれた人も何人かいました。若い人ばかりでしたが。

イギリスから来た観光客は、アンチ・ポバティ・アクションと言ったら、とても喜んでくれて、デモ隊の中に入って写真を撮っていきましたよ。イギリスでは市民権があるんですね。

交通整理の機動隊の人に「この仕事で手当て出るの? 大変でないか?」と聞いたら「自分らは気がつかないようにしています」と言っていました。

いろんな反応の中で、これが一番悲しい返答かもしれません。

公安凄かったですねー
dr.stonefly
2007年12月12日 17:30
貧乏人さん、こんにちは、はじめまして。
いやいや、貧乏人さんこんにちは、っていうのもなんだか凄いなぁ(笑)
そうですね、いろいろな意味で面白いデモでした。
外国の方が反応していたのは、イギリス人だったんですね。
途中、ネトッカフぇの看板担いで宣伝していた若い兄さんがいて、なんとなくバツ悪そうにしていたのに、気づきましたか?

さらに大きく、通行人が途中参加してどんどん膨れ上がるデモができたらおもしろだろうなぁ、と思ってます。

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