「横湯園子はささやいた」(3)…いじめの実際・教師の一言

 どうも、講演をききながらのメモだけでは正確に再現できない部分もありそうだ。この講演会では4300人余りが話を聞いていたはずだから、会場にいた人でこのブログを読んでいる人もいるかもしれない。間違っていたら指摘して下さい。
 (1)でイジメる側はイジメに至る負の要因があり、イジメを実行するために〔標的〕を探しイジメに至る、たとえその〔標的〕に失敗しても次の〔標的〕を選びイジメを実行する、とワタシは認識した。しかし、次に横湯さんが紹介した例は誰でもが安易にイジメる側になるパターンのような気がする。

 〔Bさんの場合〕
 現在ひきこもりのBさん(30才?)は、カウンセリングで過去にイジメにあったことを思いだした。小学校4年生のことである。 Bさんはイジメを受けたのが実際は1週間ほどだったが、1ヶ月ほどに感じている。
 もともとBさんは明るく皆をひっぱていくタイプの子どもだった。ある日、クラスメートと川で遊んでいて、Bさんは「砂金をさがそう」と言った。遊んでいるうちに友達の一人が川底にあったガラスの破片で足を切った。血が流れ出し動揺している。みんなで近くの病院へつれていった。
 次の日、学校の道徳の時間、昨日の川で怪我をしたの話になり、友達のひとりが
 「みんなで病院へいったが、Bさんだけ病院へいかずに逃げた」と発言した。
 それを聞いた教師が、
 「友達のことを思い、病院へついていった方がよかった」と言った。が、重大なミスを犯していたのである。教師はBさんに「本当に病院へいかなかったのか?」と、聞かなかったのである。
 実際Bさんは病院へついて行っていたのだ。ただ「砂金をさがそう」と言い出したことに責任を感じていたのだろうか、最後尾でトボトボとついて行ったのだ。最後尾でついていった「自分が情けない」と思っていたので、事実を言い出させなかった。
 その教師の言葉がきっかけで、その後Bさんは「卑怯者」というレッテルを貼られ、イジメられることになる。


 特に何らかの負の原因によって排出され固定化されたイジメグループがいなくても、イジメはおきるケースだよな。よく指摘されるように、誰もが今の社会が負の要因を抱えているのかもしれない。
 横湯さんはささやいた。「川で怪我しなかったら……、友達が道徳の時間に事実誤認を言わなければ……、教師が本人に聞いていれば……、イジメはなかったかもしれない。このイジメがなければ、今『ひきこもり』をしていなかったかもしれない……」と。
 Bさんが1週間程度のイジメを1ヶ月と感じていた。心理学的な難しいことは分からないが、このイジメが尾を引き後々に影響(このケースはひきこもり)することもあるのだろう。だから、横湯さんは、この当時、何かひとつでも条件が欠けていて「いじめ」にならなかったら……、とささやいたのだろう。
 ここのとこの報道では「いじめー自殺」がクローズアップされ、「生きてさえいれば」「とりあえず逃げろ」……、と叫ばれているが、イジメがトラウマとなり一生苦しむ人がいることも認識しておいた方がよさそうだ。もちろん、じゃ「自殺」した方がよいなどと言っているわけではないよ。
 事例に戻るが、ワタシには「道徳の時間」に「道徳的な話題」になり「道徳的なことを言うチャンス」と、Bくんを題材にすることで、「道徳的」な教えができたと満足している教師が見えるような気がする。もちろん教師はB君を「卑怯者」と晒したことで、イジメにあう予測などしていない。もちろんたとえ実際にB君が「逃げて」いたとしても、それを題材にするのは浅はかだな、と書きながら考える。
 うーん、実はワタシもブログでよくやるんだよな。何かを主張したいために「誰か」を非難し晒しものにすることは。まあ、ワタシの場合は権力者や心臓に毛が生えているような有名人なので問題はないと思うが、くせになるといけないので気をつけるようにしよう。
 横湯さんは、もうひとつのポイントをささやいた。(2)のAくんとBくんでは「イジメられ方」「イジメの内容の酷さ」が客観的には違うように感じるかもしれないが、それぞれの被害者が孤立した世界のなかで感受する度合いに優劣はない、という。つまりA君もB君もそれぞれがそれぞれの内面でひどく傷つけれているのだ。瑞浪の女子生徒自殺で校長が言った「それぐらいのことで自殺するだろうか」というのは、根本的な間違いでありイジメの本質を把握してないことを暴露している。

 A君もB君も横湯さんのようなカウンセラーに出会うことができて、よかったと思う。「生きて」いなければ「出会う」こともできなかっただろう。この負の体験がプラスの体験に変わることを願わずにはいられない。

 ひとつ具体的な対処法だが、横湯さんのような専門のカウンセラー、つまり「駆け込み寺」の「学校外」に多数設置すべきではないのだろうか。公的な金で運営し、役所や学校には絶対口を出させないというのがいいな。イジメられる以前に「駆け込み寺」の存在を知らせ、「孤立化」「無力化」させないようにする。さらには「イジメる側」にもカウンセリングが必要なのは言う迄もない。
 イジメを早期発見などと言っているが、「早期発見」したとこで対処法を知らなければ話にならない。さらには、教育改革じゃなんともならないのは目に見えている。


(第41回学童全国研究集会,名古屋・横湯園子基調講演/10月28日)より


「横湯園子はささやいた」(1)…いじめのレシピといじめへの加担
「横湯園子はささやいた」(2)…いじめの実際・便器に顔づけ
「横湯園子はささやいた」(3)…いじめの実際・教師の一言


 〔お詫び〕
 29-30日にかけてBIGLOBEウエッブリのトラブルで、TBとコメントが受け付けられなかったようです。ご迷惑をかけました。気を悪くしないでね。

 



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この記事へのコメント

ダメオヤジ
2006年11月02日 09:58
こんにちは。多くの文章やコメントを読んでも、親としてどこか違和感を覚えます。私のスタンスとしては、虐める側も苛められる側も、親の問題だと理解しています。私は、学校における虐め・苛め全般を無くそうとは考えません。自分の子が、当事者にならないように、夫婦の暮らし方を考え、働き方、生活のルールなど、夫婦が一緒に暮らし子らに見せるしかないように思います。親が村八分で協調性ゼロだと、子は混乱します。その中から、自分自身で道を探していくと「信じるしか」ないと思っています。その結果はわかりません。ただ、自分達の具体的な生き方を通じ、徒歩や自転車で見慣れない地域を一緒に歩き、学校の外側には、社会は広がっていることを伝えたいと思っています。わが子どもは「親の行動」や「地図」を片手に彷徨っています。防犯ベルなんて配られてもかえします。親が自立しなければ、子は自立しないと思っていますが、専門家のご託や臨床研究よりましだ・・・。言葉ではわの子の「いのち」は元気になりません。苛めによって子を失ってから、虐めている我が子を知ってから、親が自分の「依存」に気がついているように感じています。自戒しつつ。
dr.stonefly
2006年11月02日 13:17
ダメオヤジさん、こんにちは。
「親」の姿勢はやはり大きいでしょうね。よく言われる言葉、「生きていれば」は親がどれだけ生きる姿勢を見せられたか、「学校だけが世界じゃない」は、親がどれだけ「別の(多様な)世界」を見せることができたか、「逃げたらいい」にしても親がどれだけ逃げ場として受け止められる存在であることを子どもに示せたか、が問題になってくると思います。
 親が、普段から何も「見せずに」「示せずに」「教えずに」いてはイジメル側、もしくはイジメラレル側になるのも仕方ないでしょう。
 大きな声ではいいませんが、このたび自殺されたお子さんの親がいっていた「我が子の自殺が、いじめ撲滅のきっかけになってほしい」という言葉、どうしてそんな言葉がでるのかワタシには理解できません。

 そろそろ子どもと例の「夜回り」でもしようかなぁ、と思ってます。
アオネコ
2006年11月03日 21:32
 ダメオヤジさんの意見も最もだとは思います。でも、”親”じゃなくても、近くにいる大人の愛情でも充分だと経験上思います。私の場合は人間ですらありませんでしたが。(猫でした)
こんな風に書くと不真面目に思われそうですが、たった一人でも自分を認めてゆるぎない愛情を得られれば子供は強くなります。それが親ならなお良いでしょう。でも、最悪生き物でなくとも、大丈夫です。(本やぬいぐるみでも)それすら奪われてときに死んでしまうのではないでしょうか。
dr.stonefly
2006年11月04日 05:24
アオネコさん、はじめまして。コメントありがとう。苦労されましたね。
ワタシには本当に死の淵に立たされた心境はわかりません。今は、親として何ができるか、思考しています。できれば子どもが、本やぬいぐるみに頼らなくいいように、全ての親に思考して欲しいとも思います。
ダメオヤジ
2006年11月05日 12:55
アオネコさんへ。こんにちは。ダメオヤジです。おっしゃるとおりだと思います。

蛇足の説明を書きます。
私の書き込みは、自分に最も身近な人間を大切にしたい、という個人的な思いからです。一般的な方法論についてではありません。
私は、自分の子という限定された対象について、親としてできることはなにか、考えることを通じて、また具体的に実践することを通じて、今の社会では、なぜこうも多くの壁にぶつかってしまうのか? 子育てをしながらもんもんといています。けれども、考え・行動し続けることによってしか、「生きていてほしい」という私の思いを、子ども達に伝えることはできないと思っています。私は、虐め撲滅のために考え、行動してはおりません。一般化することによって抜け落ちてしまう何かを、私は怖れています。
アオネコ
2006年11月12日 00:50
こんにちは。暫らくお邪魔していなかったらお返事いただいていて、驚きました。お返事が遅くなって、すみません。
dr.stoneflyさん、”親が何が出来るか”考えてらっしゃるだけでも子供にとってありがたいことだと思います。そう言う方のお子さんはある程度強く生きられる環境にいると思います。
ダメオヤジさん、確かにこの問題は一般的に議論すればするほど現実から乖離してしまう恐れがあるとは思います。信用や愛情は言葉にすればそこからうそ臭くなりますし。
いじめられながら、どうしたらなくなるのか考え続けていましたが難しかったです。子供の社会には独自のルールがありますから大人の論理で割り切れないですし。
いじめっ子には、家で厳しくしつけられている子が多かったです。親は厳しくしていて安心しているのですが、子供は親が見ていないところでそのストレスを他人にぶつける、という。
”叱る”ことの効用を私はあまり評価していません。信用と愛情のないところでは、親子でさえ理解し会えません。今までで一番効果があったと思えるのは”話し合い”です。子供同士で解決しない限り、いじめは本当にはなくならないでしょう。
dr.stonefly
2006年11月13日 17:58
アオネコさん、再来訪感謝です。
いろいろ教えられる深いコメントですね。
まず、ワタシも「大人の感覚」で考えていること、そのことを考えさせられます。
「子どものルール」への大人の介入が如何に難しいかを想像させます。最近テレビでみる「教師」のコメントがすべて駄目に聞こえるのも、その辺りかもしれません。やはり、一旦「イジメル側」「イジメラレル側」になった場合は、横湯さんのようなスペシャリストでないと介入させできないのかもしれませんね。
取り敢えず、親として愚息が「イジメル側」「イジメラレル側」にならないこと、欲を言えば「傍観者」にならないことに手助けできたら「親のすること」はできたのかもしれないと考えました。もちろん親として自分の子に対しては横湯さんぐらいのスペシャリストになろうとは思ってますが……。
アオネコ
2006年11月13日 23:04
dr.stoneflyさん、こんにちは。
色々とエラそうなコメントしてすみません。親御さんとしては、やはりそう考えてしまうのだろうと今は解ります。自分がいじめられていたときは、ひたすら親に知られないように隠していました。中学になって、別の子が標的になったときはその子に味方しました。で、いじめられていました。これは、親が知らない私だけの勲章でした。私がこれに耐えられたのは、猫の存在があったからで、親は関係ないと思っていました。けども、目に見えない何かが有ったかもしれません。言葉でもなく。私が死ななかったのは、世界が自分を嫌いとは限らない、という感覚がもてたからかもしれません。言葉にするのは難しいですね。存在が許可されている、とでも言ったらいいでしょうか。どの子も(いじめっ子も)そうなのだ、と。暢気なのかも(笑)。
dr.stonefly
2006年11月14日 17:08
偉そうとは思ってません、核心を考えるヒントを頂いているようで、ほんとに感謝してます。ワタシが親という立場で「子ども」と「イジメ」を考えなければならないのは現実ですが、一度、「大人」で「親」である自分を突き放して、「イジメ」そのものを考えないと「子ども」への助言もできそうもないですね。
一旦「大人」で「親」になってしまった自分を突き放すのは難しそうですが、また考えてみたいと思います。

それと「勲章」はいいですね。ジーンときます。
アオネコ
2006年11月17日 01:54
こんにちは、dr.stoneflyさん。
「勲章」を褒めていただいて、ありがとうございます。でも、そんなに大した事じゃないんですよ(^^)。ちょっと面映いです。
真摯な姿勢で”親”であることを考えてらっしゃる事はおのずとお子さんにも伝わると思います。親が、たとえ自分に見向きもしてくれなくても、皆のために頑張ってるんだ、とか、世の中の正義のために活躍しているんだ、と思うだけで子供は誇らしくて強くなれると思います。
たぶん、そういうことを
「親の背中を見て育つ」
って言うんじゃないでしょうか。
子供の心は大人になると忘れてしまう方が多いですが、誰もが通ってきた道、忘れている”だけ”だと思います。”親”である自分を突き放す事はないと思いますよ。
ただ、子供にも子供の世界観と事情があって、成り立っている事だけ気をつけてもらえれば、
そんなに追い詰められたりしないと(お子さんが)思います。
わぁ~・・・いつも本当に生意気なコメントになって申し訳ありませんm(__)m。
つい、昨日の事のように思い出されるものですから。皆様の幸せをお祈りいたします。

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