「子どもと保育園のために」……このまえ、久しぶりに昔の仲間に会った

 このまえ、久しぶりに昔の仲間に会った。昔とはオレにとっての昔のことで、実はそれほど昔ではない。仲間とは共に支援活動をしていた仲間のことである。なんの支援活動かというと野宿労働者の支援だ。(本当は私たちの問題で、支援ではないのだが…)。野宿労働者とは、世間でホームレスとか浮浪者、乞食、怠け者と呼ばれている人々のことで、たまに公園を占拠する迷惑な人間として、そうでなければ少年少女に襲撃され殺される人間として新聞に載る。今これを読んでいる人のなかにも、浮浪者、乞食、怠け者と呼んでいる(思ってる)人はいるかもしれない。オレも子どもの頃(子どもとは年齢に関係なく、自分が無知かもしれないとか、間違っているかもしれないという事実を常に確認・検証できるのが大人で、出来ないのが子どもと考える)にはそう思っていた(思わされていた)から批判するつもりはないが、実は浮浪者、乞食、怠け者ではなく、いま彼(彼女)らが、心身ともに辛い状況に余儀なく立たされているのは「あなたにも責任はあるのだよ」と言っておこう。何故そう言えるか、を説明し出すと長くなるので割愛するが、野宿労働者の問題は、いまの日本にある問題(保育制度も含め私たちが抱える子どもに対するの問題、障害者の問題、高齢者の問題、民族(アイヌ・ウチナンチュウ)差別の問題、歴史的な在日や被差別部落の問題、引きこもりやニートなど社会の根源に起因する問題、労働問題など挙げればきりがない)が最後にたどり着く究極の社会問題だと思っている。だからこそ、そこに出会えたこと、しかも最初に出会えたことは幸せだった。オレがそこにいた10年くらいのあいだに、仲間と、とことん議論し(時には激しく言い合い→リロンブソーされたカツドーカをロンパしようとベンキョーもした)、社会を見る目を育てられ、運動論などをたたかわしながら、助け合い、理解しあい、あるいは理解し合えなくとも根底にある共通の基盤のうえに立つ者同士として、迷うことなく行動してきた。「無理解な世間」に実情を訴え、ひとりでも多くの理解者・共感者を得ること、差別的な「通行人」「医者」「記者」「教師」「救急隊」「役人」等を怒りをもって突き上げ(物理的に突き上げたことはない)、昼夜問わず行動し、疲労しきっている体を、ナイフで抉られたようなきりきりと尖った神経がむち打った……。結局、オレは権力に叩かれ灰になってしまうのだが、でも、その灰になったことまでを含めて全てがオレの財産で、なによりも、どんなときにも常に共にいた仲間が、かけがえのない財産だと思っている。

 このまえ、久しぶりに昔の仲間に会った。実は仲間と呼ぶのはおこがましいほどの先輩で、オレのような軟弱なメンタリティの持ち主と違い、いまも運動を続けているタフでな人たちである。そんな人たちと久しぶりに会い、昔話やら運動論みたいなことを酒を飲みながら話をしていた。2軒目にハシゴし、酔いも相当まわってきている。結構飲んでいて、何故こんな事態になったのか解らないのだが、気がつくとそのタフな先輩たちに向かって「泣いて訴えている」オレがいた。オレの理性は驚き、狼狽えた。はあ、オレは何で泣いているんだ? もう中年であるおっさんが居酒屋でしかも人前で何を泣いて訴えているんだ? 馬鹿じゃない、かっこわるー! と理性が訴えている。実際に滅茶苦茶カッコ悪く、なんとか自制しようと思うのだが、涙が止まらないのだ。ボロボロと涙が溢れる。そして口がかってに動くのである。「闘っているのはアンタたちだけじゃないんだ。青カン(野宿労働者)の問題だけじゃないんだ、子どもだって潰されようとしているんだ!! そこで闘っている奴もいるんだ!!」と。もう支離滅裂である。整理して喋る事が出来ない。はっきりいって自分でも何を言っているのかわからない。黙れ、と己の口に命令するが止まらない。意識の下から涙と言葉がボロボロとこぼれてくる。黙ってうなずいているタフな先輩たちを見るにあたり、惨めになった。どうしようもない馬鹿だ。酒のせいもあるのかもしれないが、別に泣き上戸というわけではない。心理療法のカウンセリングを受けているような錯覚に陥ってしまったようだ。オレにとって本当に気の許せる、ブザマで恥ずかしい姿を晒してもいい仲間だったと、意識の下では認識していたのだろうか。否、失敗したと思っている。大失敗だ。できればやり直したい夜だ。オレは勝手にこのタフな人たちをライバルだと思っていて、そのライバルのまえで泣き言をこぼしてしまったのだ。鬱。惨めだ~。本当に失敗した~。大失敗だ~。やり直させてくれ~。タイムマシーンをくれ~。

 このまえ、久しぶりに昔の仲間に会った。非常に恥ずかしい夜から数日経ち、やっと冷静に考えることができそうだ。取り敢えず己は涙ボロボロの軟弱な精神であることは認めるさ。悔しいが、受け入れるしかないだろう。問題なのは、意識の下からでた言葉だ。オレは何を思っていたのだろう。オレの深層にあるものは、恥ずかしいほど取り乱してまで何を訴えたかったのだろう。解ってる。間違いなく「あれ」だ。そう、則武保育園で親の叫びを聞いてしまったこと。子どもを絶対に守らなければならない、という親の叫び声。あの叫びに、野宿労働者が、行政に、いや社会に潰され、明日殺されるかもしれないと知ったときの叫びが、本当に殺され死んで行く姿がフラッシュバックしてしまったのだ。さらにはそんな野宿労働者の叫び声に最後まで応えられなかった自分を思い出してしまった。保育園という世界では聞く事がないと思っていた「そんな叫び声」を聞いてしまったのだ。卒園まであと2ヶ月というときに。結局、保育園にいた6年の間に、子どもたちのために何もできずに終わることになった。これまでに何度も繰り返した負けだらけの人生をまた繰り返してしまったのだ。子ども受難の時代が迫っているのは解っていたはずだ。そして則武保育園をはじめ、全国の保育園や子どもたちが、これからは平穏とは言えないだろう。どんどん子どもと保育園が切り捨てられる。そして、今こんなブログで訴えることしかできない自分が悲しい。

 このまえ、久しぶりに昔の仲間に会った。と、何年後かに言える仲間を、オレは保育園のなかでつくることが出来ただろうか? 何年会わなくても、まったくブランクを感じることなく安心して話ができる仲間がつくれただろうか? わからない。ただ、これから厳しい時代に直面する保育園の親のほうが、否が応でも力を合わせて頑張るしかないこれから方が、本当の仲間をつくるチャンスに恵まれているのかもしれない。これからの大変な時代に共に行動できた仲間こそ財産になるのだ。もう既に闘っている親もそうでない親も、手をとりあい、子どもたちのために頑張って欲しい。

(いまどきのカイチョー通信 其の11を書き直して転載)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

e-アフィリ
2006年04月22日 18:49
こんにちは、アフィリエイトサイトのe-アフィリと申します。
突然のメール失礼します。
ブログ拝見させていただいて内容・デザイン共に”見せるブログ”としてとても質の高いブログだと思いました。
是非、e-アフィリに参加して頂けないでしょうか?
登録はもちろん無料です。

《1クリック1円~・1登録1000円》

と幅広い報酬システムにて運営させて頂いております。
詳細などシステムはURL先で確認して頂けますので宜しくお願いします。
何かご質問等ありましたら、メールにてお気軽にお問い合わせ下さい。
ご参加、心よりお待ちしております。
既にご登録頂いてる方、または我社から同様の内容の書き込みをさせていただいたことがありましたらば誠に申し訳ありません。
e-アフィリ http://e-af.net/?ho
せつお
2006年04月24日 17:55
私は実は高齢者福祉に携わっていますが、昔、元ホームレスの高齢者から沢山学ばせていただいたことを思い出しました。誰にも看取られずに一人入院先で逝ってしまいました。当時ただのサービス事業所の一相談員であった私は、介護保険の枠組のなか、事業所と利用者という関係を
せつお
2006年04月24日 18:17
崩さず(要はいらないことすんな)ただ少しでも自分らしさを持って快適に利用して頂く事しかできず、知り得た本人の気持や望む生活をどうする事も出来ずに終ってしまいました。個人的に面会に行き、意識がない本人を前に悔やんだ記憶が。だから少しだけお気持ち察します。
dr.stonefly
2006年04月25日 05:43
少しだけ気持ちを察して頂いて、ありがとう。
せつおさんの話しも、なんだか、しんみりと聞いてみたい記憶ですね。
私は「負けだらけの経験を重ね」、いつからか、無力で駄目な自分を認識し、そこを原点とするようになりました。それでも「何かは」しなければ、と思ってます。
せつお
2006年04月25日 08:41
そうですね。返って励まされてしまいましたが、とにかく自分にできることをやらないよりは少しでも、、と思います。がんばります。

この記事へのトラックバック

  • 報道にもうちょっと配慮が・・・

    Excerpt:  今から6年前か?早いなあ・・・時間が経つのは。  1999年暮れ、あるNGOでご一緒していた人から路上生活者(所謂、ホームレスの人々)の夜間巡回をやりませんかと誘われた。じゃあ、やりますかというこ.. Weblog: 闘うリベラルのチャンネル racked: 2006-05-20 04:04