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zoom RSS 『日本の「アジール」を訪ねて 漂泊民の場所』筒井功著

<<   作成日時 : 2017/02/13 16:52   >>

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 新聞の日曜版に載っていた推薦文を読み買った。
 まあ、あれだ、「逝きし世の面影」で描かれたような、いいとこどりばかりではいけないと思いで読んだということもあり、国家のシステムに組み込まれなかった人々はどうだったのだろう、しかも最近までの日本で、という興味で読んだということもある。
 いわゆる巷では「サンカ(山窩)」として知られる人々に関する本で、非常に真面目で特に面白おかしく書くこともなく、取材による伝聞とそこからの無理のない推理が書かれていた。
 日本における、無籍の非定住民のことで、「サンカ」と一言でまとめられないと、過去の民俗学者を批判している。ましてや山窩小説(未読)のようなものではない、と書かれていた、笑。エンターテーメントとして歪められることは何についてもあると自戒する。おもしろおかしいほうが食いつきがいい、爆!!

 非定住民がつい最近、一世紀から半世紀まえまでいて、箕づくりや川漁師で暮らしていたらしいのだが、藁でつくった簡易テント風のものや古墳だった横穴に棲むなどさながら古代人のような暮らしをしていた。とはいえ、箕づくりなど、高度な技術が必要で、農家で自作できるようなものでなかったらしいので、職人としての農家からの需要はあり、箕作り、箕直しで生活はなりたっていた。
 システム外で洞窟や簡易小屋に住んでいながらも笑って暮らしていれば「ピダハン」じゃないか、と思いながらも、「笑って」「泣いて」などの人々の様子の記述がほとんどないので彼らの心境までは解らなかった。でもまあ、ちょっと読み直してしまったエピソードを一つ引用しておこう。

 一家が観音岩洞窟に済んでいた大正時代の半ばごろ、そこには二十から四十人ほどが寝起きしていた。(以後ところどころ中略)彼らは2つの洞窟に分かれて雑居していた。思い思いの場所に筵を敷き、寝るのである。家族連れもいれば、独り者もいた。煮炊きは中でする。「昼も夜もうるさくて仕方なかった」と話していた。
 ・・・緩やかな斜面に馬捨て場があった。穴からの距離は300メートルである。村の農耕馬が死んだらそこに捨てることになっていた。
 死馬の発生はほとんど瞬時に穴の住民の知るところとなったらしい。とにかく死馬が馬捨場に着く頃には穴の住民たちが遠くのものかげから、その到着をいまや遅しと見守っていたのだった。
 作業が終わると、、いっせいに馬捨場に駆け寄り、わざと形ばかりにかぶせられてい土をかけのけ、てんでにナイフで馬の肉をそぎ取るのだった。・・・そうやってバケツ三杯分の馬肉を手に入れたこともあった。そのあと肉がなくなるまで数日間、穴の住民たちは連日連夜、食って飲んでの大騒ぎをして過ごした。


 「昼も夜もうるさくて仕方ない」やら「食料があるときは仕事をしない」なんて、なんとなくピダハンを思い出さずにいられない。飲んで食っての大騒ぎも、ピダハンの陽気な風景が浮かんでしまった。ヒトだった。で、その後の記述もしかり、、、、

 馬捨場は、観音岩洞窟で暮らす者たちの葬地でもあった。むろん棺などう買わない遺体を窪みにおいて、その上に軽く土をかぶせるだけである。・・・

 これもピダハンと同じだ、、、。日本のなかの非定住民が「自然の大きな円環」という世界観をもっていたかどうかは書かれていない。というか、かれらのルーツは「社会」から弾き出されたようだ。だからピダハンとは全く違うことは解っているのだが、なんとなく似ているような気がする。近代文明から離れた生活のなかのなにかしらがあるのかもしれない。まあ、ただの思いこみたいだけの可能性もあるんだろうけど、笑。

 明治期から警察は「無籍」ということで犯罪者集団とみなしていたようだし、今となっては一般社会のなかに溶け込んで、その生活様態はなくなったらしい。まあそうだろうな。もう箕の需要もないし、川魚も漁業権がうるさい。今の日本で人知れず住む集団など周辺住民からも許されようがない。すでに大きな【システムの円環】に吸収されてしまった、、、と、残念がるのは筋違いなのかもしれないが、、なんとなくね。

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