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zoom RSS 「村上春樹の言うsystem」…“私たち”とは何だ!?

<<   作成日時 : 2009/02/20 12:01   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 10

 昨日はちょっとした失敗エントリーをupしてしまい、慌てて訂正エントリーを挙げたので気づかなかったが、村上春樹のスピーチをよくよく読み直していて、ウームと考えてしまったので、もう少し書くことにする。
 村上春樹はイスラエルという地でスピーチして話題になっていて、ワタシもそこに焦点をあてて前のエントリーを書いた。しかし、この内容はスピーチをした場所に留まることはなさそうである。ずっとワタシが思っていることと重なる気がしたのである。それは村上春樹がいう「the system( 壁)」なのだが。
 とりあえず、整理のために箇条書きにしてみた。

村上春樹の言う「the system( 壁)」は

○私たちを護るべきもの
○私たちを殺し合う様にしむけるもの
○絡みとられ貶められるもの
○警報をならしながら光を保ち続けるもの
○どうみても勝算はなさそうなもの
○高く、強く、あまりに冷たいもの
○実体のないもの
○私たちを食い物にするのを許してはいけないもの
○ひとり歩きするのを許してはいけないもの
○私たちが作られたのではなく、私たちが作ったもの


 さて、村上春樹の言うthe systemとは何だろう。
 村上春樹は、国籍、人種、宗教と言っているのかな。これはガザを空爆するイスラエルを意識したスピーチのためかもしれない。再読するとスピーチの内容は、イスラエルに限らずとも、もっと普遍的にも読める気がする。日本でスピーチしても全く違和感のない内容じゃないかな。そうなのだ、とどのつまりが「壁」つまりsystemなのだ。
 ワタシが、箇条書きとして書き出したセンテンスをつらつらと眺めながら浮かんだ言葉は「国家」。ワンセンテンスづつ「国家」という言葉を念頭におきながら、確認すると全くそのもののような気がするのだ。

 「国家」は、高く、強く、冷たく感じるが実体がない。私たちを護るはずなのにいつのまにか絡み取られ貶められ、食い物にされている。かってに一人歩きをしている。私たちを護るために?戦争をするように仕向ける。私たちが作ったもの、私たちが保持するものなのに、取り込まれ私たちが作られ、従属している様な錯覚をおこす。たしかに私たちを護っていると思っているのだけど……、本当に護られているのだろうか? 
 ……言い当てている。今だから、もう一度確認しなければならない「壁」だということも。
 国家が生み出す「法律」「経済(金)」「文化」「プライド」…、一人歩きして、絡み取られ貶めら、食い物にされていないだろうか? 食い物にされ、寄生され、乗っ取られていることにも気づかずにいるのだろうか? (箇条書きのsystemを「法律」「経済(金)」「文化」「プライド」のそれぞれに照らし合わせても納得してしまう)

 ただsystemを「国家」と読んだ時、箇条書きのなかにある「私たち」とは、一つの国家のなかにいる国民としての「私たち」となるのだろう。村上春樹がいうように「国籍」「人種」「宗教」としたとき、一国籍の私たち、一人種の私たち、一宗教の私たち、となるのだろうか? ここでいう限定された「私たち」で、「高く、強く、冷たく、勝算もなさそうな、実体のない」systemを、私たちが作ったものとして、克服することができるのだろうか? はなはだ疑問である。
 村上春樹はイスラエルの地であるけれども、全世界に向けて呼びかけたのではないか? 全世界の人々は、一国家の、一国籍の、一人種の、一宗教の、私たちとして聴くのだろうか? また村上春樹は、どのような「私たち」として言ったのだ。あるシステムに線引きされた「私たち」だろうか?
 一つの限定された「私たち」として聴く限り、私たち自身がその「私たち」を打ち破れない限り、どこまでいっても乗り越えられない「壁」のような気がする。
 

村上春樹のスピーチの全文は 前のエントリーをご覧下さい。



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タイトル (本文) ブログ名/日時
村上春樹
[book]村上春樹受賞スピーチ、追記村上春樹氏のエルサレムでの「卵と壁」スピーチ関連をまとめてみた 「村上春樹の言うsystem」…“私たち”とは何だ!?[日々][本]村上春樹氏のスピーチ全文の自分用記録。【日本語全訳】村上春樹「エルサレム賞」受賞スピーチ小倉「ヘロヘロ大臣とは違うな〜」 「毅然と演説」村上春樹村上春樹さんの受賞スピーチ、日本のブロガー陣がスピード翻訳 「ハルキ風」も村上春樹さん 授賞式に出席 ...続きを見る
吉田圭吾 画像 2ちゃんねる
2009/02/20 12:48
じゅうごのじゆう
巷(ってどこ?)で話題の村上春樹さんの受賞スピーチについて、です http://www.47news.jp/47topics/e/93925.php 何だかまとまらないけど、 いつまでもまとまらなさそうだから、 急いで出したいなと思うとこだけ、出しときます ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆.. ...続きを見る
そいつは帽子だ!
2009/02/22 12:11
【再掲載】モノに2つの価格【+α】
当エントリーは、3年ほど前の記事(はてなにアップ)の再掲載+αです。 ...続きを見る
愚樵空論
2009/02/23 17:15

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
いわんとしていることは、当たっていると思うよ。

卵と壁という喩えからして、嫌いな壁の千メーターのあたりをさ迷っているね。
ご当人ですら、身に覚えがないくらいほんわかと、感覚的に。
田中洌
URL
2009/02/20 16:44
>村上春樹はイスラエルの地であるけれども、全世界に向けて呼びかけたのではないか?
まあ、しょせん「村上春樹ファン」の言うことだと割り引いて受け取ってもらって結構です。
わたしはまさにそのように読みました。

「私たちは誰もが人間であり、国籍・人種・宗教を超えた個人です」「もし勝ち目があるのなら、自分自身と他者の生が唯一無二であり、かけがえのないものであることを信じ、存在をつなぎ合わせる事によって得られた暖かみによってもたらされなければなりません」

中国東北部で、育った文化環境の異なる、でも特にアホとエロ方面では笑うぐらいおんなじなやつらと白酒飲んで吐いて復活してカラOK歌っていた私自身の7年間と、ロックンロールの名のもとに、上記の言葉に全面的に踊りながら同意します。

そしてこのスピーチは、そういう「実体ある生きる存在」である我々、もともとは「システムを作った」我々一人一人の強さと弱さと可能性に対しての、親密な呼びかけです。
なめぴょん
URL
2009/02/20 22:41
(続き)

押さえるべきところは押さえなければならない。「爆撃機(bomber)と戦車とロケット弾と白リン弾」は、スピーチがなされた時間と空間において最も鮮明に現れたsystemの表れですから。

ただし、この言葉は、上に述べた文脈から、「イスラエル人」だって共有できるのです。人は偶然の生まれによって存在を決め付けられるべきものではない。

♪生まれたところや皮膚や目の色で
 一体この僕の何がわかるというのだろう

とにかく受賞したことが残念、気に入らない、そういう意見はあるでしょう。

わたしはただ、ロックンロールやこの村上春樹の言葉から受け取ったバトンをどうにかして「目の前のあなた」へ渡し、リレーを続けていく。そう、自分に言い聞かせるだけです。
なめぴょん
URL
2009/02/20 22:42

洌さん、
うん、洌さんなんかからすると「壁」と「卵」というメタファそのものが、壁を破れない「私たち」の戯れ言に映るかもしれないな(笑)。
「ばか」や「うどん屋」のどこが「卵」なんだよ、ってオイラでも思うもの。

dr.stonefly
2009/02/21 09:40

なめぴょんさん、おはようございます。
そうですか「村上春樹ファン」でしたか。実はワタシは村上春樹の本を読んだことがありません。なので、ファンでもアンチファンでもなく、先入観なしスピーチを読めたくちです。

ただ、ロケンロール的精神でいけば、スピーチをかましといて、受賞を蹴れば「かっこよかったのになぁ」とワタシが思ったのは事実です。
スピーチの内容に関しては、上に書いた通りで、なめぴょんさんが言われることも分かるつもりです。
一定の条件のなかにおける「私たち」ではなく、全世界、全人間の「私たち」になれば、もうそのときには「私たち」というのが意味をなさない、そういう意味でグローバルになればいいと、思っています。やっぱイマジンだね。
dr.stonefly
2009/02/21 09:47
dr.stoneflyさん、お久しぶりです。村上さんの壁と卵のお話はなかなか面白いですね、どうとでも採れるところが。
池田先生の所の米欄で卵が鳥になる可能性にまで言及していた方がいて、なるほどと感心しました。一人ひとりが成長すれば壁を乗り越えることも可能。でも卵はいくつ集まっても卵。壁にぶつかれば割れてしまんですよね。だから壁には近寄るな。壊れないために、との暗示とも言えますよね。村上春樹にとってThe Systemとは動かない強大な物、という諦めがあるんでしょうかね。
受賞の知らせを聞いた時点であれこれ言っていた人も結構このスピーチを評価しているみたいだけど、煙に巻かれたみたいな気がしないでもないです。(笑)
akiko
2009/02/22 19:20
TB送らせていただいたエントリーで、少しだけ村上春樹について触れました。村上春樹が触れなかったことについて触れました。「壁」と「卵」の間にあったはずのもの。それは「故郷」、別の言い方をすると共同体です。

私たち「卵」は「壁」を作り上げると同時に「故郷」を捨てた。作り上げただけではなく、捨てたものがある。この認識が大切だと思います。

そうですね、たとえば派遣切りに遭った人々。彼らは「壁」に打ち付けられた「卵」でしょう。それは酷い話ですが、でも、「壁」に打ち付けられる前にどうして「故郷」へ逃げ帰らなかったのか? そうした疑問が浮かび上がるのを私は禁じ得ない。しかし、もはや「故郷」はないのですね。

「壁」を壊すことはおそらく出来ません。それは「卵」にとって必要な「壁」だから。でも、私たちは「壁」を作り上げることに熱中しすぎて「故郷」を省みなかった。そのことのツケが今、回ってきているのだと思います。
愚樵
URL
2009/02/23 17:37
ただ、「故郷」は必ずしも良いことづくめのものではない。で、あるならうち捨てられるはずはない。また、イスラエルが「壁」を作るのも「故郷」を作るため。かつて日本の若者が兵隊を志願したのも「故郷」のため。「故郷」が「壁」に寄り添ってしまうと、最凶の「壁」が出来上がってしまいます。そのことも忘れてはならないでしょう。
愚樵@つづき
2009/02/23 17:38
akikoさん、ほんとお久しぶりでーす。
面白いねぇ。メタファとしての「卵」ねぇ。ほんと割って孵らないと駄目かもね。あと壁は壊れないものとかねぇ…。確かにいろいろ発展させると面白そうだね。
実は、前のエントリーで失敗して削除したエントリーにその辺のことを書いていてさ、

>オイラは卵から孵ったんだけど、殻が硬すぎて内から割れなくてさぁ。そうこうしているうちに卵のなかで成長したんだけど、そのまま老けてしてまって、老けた嘴ではさらに殻を割るのが困難だし、さらにはどんどん殻が硬くなっていくしさぁ。
いっそこのまま殻を硬くして自ら壁にぶち当たり壁に穴を開けてやろうかしら…

って自虐ネタを展開していました(笑)
まあ、オイラも含めて机上で好きな事いってるけど、実際にイスラエルであのスピーチをした勇気は認める。イスラエルにしてみればあのメタファを悪意にとることは簡単にできるもの。しかもメタファじゃなくてズバリ言ってるわけだしね。
dr.stonefly
2009/02/23 17:41

愚樵師

ワタシはね、このスピーチを読みながら、systemってのを愚樵さんだったら「近代」と読むんだろうなぁ、と想像してました。(アキラさんならポストモダンかな、とかね)。

うーん「壁」と「卵」のあいだの「故郷」ですね。「故郷」で、ぱっと頭に浮かんだのが室生犀星。

>ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや

犀星にとって「壁・system」は「みやこ」かな?
故郷はただ生まれ育った場所ではなく、「すべてを温かく包み込むでくれる安心」を想像しますね。

「みやこ」で浮かんで来るのが、

>住めば、みやこ

っての。
あれ?あれ、あれ?「故郷」もメタファだとすると、それの本質が何か、考えさせられます。

TB頂いた記事は、読みかけましたが用事が入りました。もう少し時間があるときにじっくり読まさせて頂きます。

dr.stonefly
2009/02/23 18:37

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