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zoom RSS 「下流志向」(1)……オレ様化する大人たち

<<   作成日時 : 2007/11/07 19:30   >>

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 内田樹の「下流志向:学ばない子どもたち 働かない若者たち」をやっと読み終えた。帯には「最新ベストセラー……話題沸騰」となっているが、既に一年程前の発行のため完全に周回おくれというわけだ。普段から世間を斜に見ているせいか、いつも流行に遅れる。さてさて今回は周回遅れのトップランナーになれるだろうか? ま、今回も無理だろうね。
 さて本のほうは、最近の子どもが「学ばない、働かない」のはなんでだろう? という内容なんだけど、はっきりいって面白い。笑える。「ネタの宝庫」である。

 ワタシより後を走る人(笑)のためにザクっと紹介しよう。230Pある本を数行で紹介するのでしっかりは伝わらないかもしれないけど……、詳しく知りたい人は読んでみよう、ということで。

 最近の子どもが学ばないのは、「就学以前に消費主体としての自己を確立している」ためらしい。消費主体ってのは、つまり「客」なんだよね。客として自分を自覚している。常に損か得かを考えて、得と判断すれば対等(等価)の「お金」を払って手に入れる。損と判断すると手に入れない。しかも金を払うと同時に商品が手に入らなければならないと気に入らないわけだ。客だから当然だね。「勉強」も損得で判断する。その勉強すると何か得するか?どうか?、という判断から入るわけで、得をしないと判断した場合、勉強しないことになる。もちろん対価を払うと即に得をしなければならない。本のなかの例は忘れたが、「古文なんか勉強して、なんか役にたつの〜?」てな感じである。
 だいたいさ、勉強することの本質が「損得」でないうえに、即、得をすることなどあり得ないわけで、つまり「客」である子どもは学ばないことになる。
 学校でも「授業」という「商品」を買うという感覚だね。買わないと判断した場合、授業を無視してお喋りやらをすることになるのだ、義務教育として無理矢理受けさせられる授業を「押し売りされないぞ」とばかりに「サボっている態度」も「買わないという意志を示す」ためであり、努力して教師の話を聞かずにサボっているらしい。いいかい、「客」である自我を維持するために、「努力して授業を聞かない」ようにしているというのだ。こうした子どもたちには、義務教育ってのも、教育を受けせる「義務」じゃなくて、教育を受けなければいけない「義務」だと認識しているらしい。
 すごいでしょ。ほんまかいな、と俄には信じ難いが、ネタとしては結構笑える。
 消費主体つまり「客」としてのキーワードは「等価交換」ね。本のなかではこのキーワードでいろいろ展開される。
 たとえば「オレ様化する子どもたち」という段落があり、今の子どもたちの様子を紹介する。教室で教師が「私語を慎みなさい」と生徒は「うるせいな聞いているよ」と言うという。また、喫煙の現行犯で注意すると、タバコをもみ消しながら「吸ってないよ」といい、カンニングペーパーを注意すると「見てねぇよ」と言うらしい。ワタシたちなんかは、取り敢えず自分がしていたことなんかは認めたうえで謝ったり、逃げたり、理由を言ってみたりしたのだが、どうやら、自分でした行為自体を否定するところから始まるらしい。
 この理由として「自分の非」と「教師がする処分」を「等価交換」したいと思って居る、という。自分の非と教師による処分を等しい価値、つまり自分のマイナスと教師のプラスの差を0にしたいわけだ。生徒はのちのちの処分をきめる交渉(=交換)を等価にするため、非をおかした現場から始まっているものとして、自分の非を「なくす」か「小さくする」ための道を選ぶ、とある。やっている、という事実ももみ消そうとする。
 さてさて、こんな子どもたちは呆れたもんなのかねぇ。オバかだね、ダメだって、なんでも「等価交換」しようとしちゃぁさ、って普通は思うかな。でもさ、あれ、これって「子ども」だけか? なんてワタシは思ってしまうのさ。

 「オレ様化する大人たち」だっていっぱいいるじゃないか。

 ここんとこ続いている不祥事企業の社長が、調べれば簡単にわかる事実をとりあえず非を小さくするために隠してみたり、すぐにばれる嘘をいってみたり。ちょっと前なら何とか還元水とかさ、最近ならガソリンスタンドの給油量とか、年金のこととか、はたまた沖縄の強制集団自決をなかったことにしようとか、従軍慰安婦は強制じゃなかったとか、さらには「辞めてやる」ってブラフをかけてみたり……、エゴ丸出しの「等価交換」のオンパレードではないか。もっとも最後の、辞めてやるってブラフは、等価以上を狙っているかもね。

 こんなオバかな大人が蔓延していて誰が、目の前でタバコをもみ消しながら「吸ってねーよ」って言い張る子どもを非難できるんだろう? 子どもは世相を映し出す鏡ってゆうだろ。言わないか(爆)(つづく)
 
 

「下流志向」(2)…悲劇、親の投資が子に報い
「下流志向」(3)…人生の価値ってお金ですか?

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
 おとなが白々しいウソをついて,それがまかり通っている社会だから,子供もそれをなぞっているんでしょう.ウソはつき得.正直者は損をする.本当に日本は救いがたい.
Ladybird
2007/11/08 10:05
ほんと、そうです。
今の大人が子どもを批判することができないでしょ。って思います。
ただ、>ウソはつき得.正直者は損をする.
の「正直者は損」の部分はもう少し思索を深めてみたい気がしています。
dr.stonefly
2007/11/08 12:59
今巷に氾濫しているのは、目に見えるものを見えないふりをして、開き直るという奴でしょうか。
私は、見えないものを見る大切さを感じているのに。
政治家から子供まで、損得勘定と等価交換をしていますね。それは、なんだか冷たさを感じる空気です。人に対する共感を失っているのでしょうか。
非戦
2007/11/10 20:43
非戦さん、そうですね。目に見えるものさえねじ曲げて己の得にもっていく風潮のなか、目に見えないものなど見ようとしないでしょう。金があるなしでない、本当の意味での貧困さを感じます。
dr.stonefly
2007/11/11 16:10
>「オレ様化する大人たち」だっていっぱいいるじゃないか。

確かに。セクハラ、パワハラ、アカハラの常習の馬鹿教授、馬鹿教師たちや、「笑顔」で相手を油断させ、携帯電話を隠し持ちながら職場の陰湿な監視・密告に従事する「奴隷」が世の中に溢れていますからな。いくら「勉強」したところで、ゴールがこういう連中なら、阿呆らしくて、とても「学ぶ」気になれなくなるのは当然だと思います。
鐘楼の堕天使
2007/12/17 14:17
鐘楼の堕天使さん、はじめまして。
どうも、仕事をはじめいろいろな組織から離れてしまっているワタシにとっては、テレビなどでみる「俺様化する大人」以外の実感が乏しいのですが、なんだか凄そうですね。あーやだやだ。
なんとか、子どもたちには、
>阿呆らしくて、とても「学ぶ」気になれなくなる
ではなく、学ぶことの本質を知ってもらいたいとは思うのですが……。
dr.stonefly
2007/12/18 02:02

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