毒多の戯れ言

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zoom RSS 「731部隊の所業」…そこに至る以前の問題

<<   作成日時 : 2006/07/18 08:35   >>

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 まえの記事で書いた、UTSのアンケートに答えながら、1年程まえに参加した学習会を思い出していた。それは、「731部隊」に関する学習会で、父親が実際に731部隊に所属していたという高校の教師を講師に招き、話をきくというものだった。
 「731部隊」というのは、1931年の満州事変により満州国を成立させた関東軍=ニホンが、つくった世界最大規模の「細菌戦部隊」で、ニホンの医師や科学者や軍人が、ロシア人、中国人など3000人余りに人体実験等を行った。その狂気にみちた悲惨な実態は森村誠一の「悪魔の飽食」に詳しい。
 勉強会でも実際の実験の様子がVTRによって紹介された。「凍傷の実験」で手を人工的に凍傷にさせ観察するというものだった。「悪魔の飽食」によると、「小さな棒で凍傷にかかった手を、小板をたたくような音がでるまでたたきました」とあるが、VTRでは、横に並んだ10人前後(?)のニホン人のまえに、肘から先を人工的に凍らされた二人の女性が立たされていて、ニホン人がその手を「引き抜く」映像が流された。ニホン人が女性の両手を斜め前方に引っ張ると、肘から下の皮膚と肉が、まるで長い手袋を脱がされるように引き抜かれ、両肘のさきは骨だけになっていた。それまで無言だった被験者の女性が、骨だけになった自分の手を見つめ絶叫して失神する、というものだった。
 
 この講師の父は徴兵され731部隊の配属になったのだが、敗戦でニホンに戻る時に箝口令がしかれ、最近まで、「731部隊」での体験を頑なに口を閉ざしていたのだ。息子であるこの講師でさえ父の戦中のことは知らなかったと話していた。最近になりこの父が語り始め、事実を知ったこの講師は「731部隊」のことを世間に伝承しようと学習会や講演会を開催するようになる。
 学習会のなかで話されたことで印象が深く、考えさせられたのが「父は当時、軍隊にいて、上からの命令に従わなければ殺されていただろう」「戦後も731部隊のことで口を開けば殺される、と思い込まされていた」という言葉だった。(ちなみに731部隊にいた医者などで、いまだに、この人体実験を医学の進歩と言って憚らぬ「大病院の長」や「大学の長」がいる、という話もあったが今回は書かない)

 この父は「自分が殺されないために他人を殺し」「自分が殺されないために口を閉ざし封印する」「思いなおして真実を世に伝える」という選択をそれぞれの時期にしたわけだ。最初の段階で命令に不服従で死を選んだ人もいたのでは? と想像したが、もちろんワタシには、この選択を責めることはできない。今、「自分のしてきたことの口を開いた」ことで、これまでに苦悩と自責と後悔があったと想像する。

 「侵略されても無抵抗」とUTSのアンケートに答えたが、チラついたのが、この731部隊に配属された「父」がワタシだったら?ということだった。または「侵略された」結果、人体実験の被験者がワタシだったら?というとこまで想像し、吐き気をもようすことになる。
 アンケートに答えたように、他人を殺してまで自分を生を続けたいとは思わない。もしこの「父」の立ち場なら命令に従わず「逃走」するだろう。「逃走」した結果殺されても、まあ仕方ないだろう。が、本音を言えば、どちらの選択も避けたい。人体実験の被験者になるのも当然避けたい。……いや、それぞれの立場に立たされる前に「逃げる」以外にできることはないのだろうか……。

 問題はこの「父」の立場になる以前の行動だ。「被験者」の立場になる以前の行動だ。
 
 UTSのアンケートの設問に違和感をもちながら、設問の意図を想像しながら、答えにもならないような理由で「1」と答えたが、それ以前のやらなければならないことがあるはずだ。「殺さなければ、殺される」「侵略され、殺される」そして「侵略して、殺す」ことを「避ける」ため、そんな殺伐とした状況を前提に設問されたアンケートに答える前に「やらなければならない」ことはある。

 やはり「降り注ぐ太陽の下、誰もが幸せに暮らせるような世の中を願って」いくために、この「アンケートに至るまで」を模索するUTSであって欲しいと思う。またワタシ自身も「やらなければならない」ことを考えなければと思う。

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内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。一休みにくれば、難題が続きますね。私は、毎日の生活において、納得のできないことに対して、立ち止まったり、ちょっとまてよとか、時間的物理的に距離をおくとか、参加しないとか、そんな感覚や判断・行動が大切だと思っています。ファシズムがいきなりやってこないように、私が、いきなり殺す側の立場に立つこともないと思います。学校でも企業でも地域でも、みんなと一緒で「まあいいか」の集積が自分を殺す立場に追い込んでいくように考えています。子どもたちにも、集団のなかで、一人きりになっても心配ないし、自分の考えをしっかりもてば、仲間と出会えるって言っています。
ダメオヤジ
2006/07/18 11:09
一休みが、重い記事ですみません。それと「ちょっとまてよ、……という感覚、判断・行動が大切」という助言ありがとうございます。難題ということでもないのですが、正直にいって、このアンケートに答えるのは非常にしんどかった。考えていると、どこまでも妄想が走っていき記事を書けませんでした。「ちょっとまてよ」と思ったのに、最初に答えようと決めたのがまずかったようです。
どうもブログを書くというのは「妙なプレッシャー」があります。無理せず自分に戻って書こうと思ってます。
「自分の考えをしっかりもてば、仲間と出会える」ワタシも子どもに言ってます。まったくそうですね。
dr.stonefly
2006/07/18 17:14
「悪魔の飽食」は、10代の頃に読んでショックを受けたのを覚えています。当時、学校は都合の良いことだけを教え、「本当のこと」を教えてくれないんだなとも思いました。731部隊を支持していた石井らは、実験で得た情報をすべてアメリカに渡し、命を奪われずにすんでいますね。そんな医者らやその人たちの子孫が、この国のリーダー的存在として、今だにのさばっていると思うとぞっとします。
るるど
2006/08/04 23:14
るるどさん
>この国のリーダー的存在として、今だにのさばっていると思うとぞっとします。
まったくその通り。靖国では「死者への態度」がどうのこうのといっているが、むしろ追及されるべきは、許し難い731部隊の反省のかけらもなく、現存するリーダー達。A級戦犯以上の犯罪者が今も、のうのうと偉そうにしていることを国民は知るべきだと思います。
dr.stonefly
2006/08/07 05:58

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